日本代表やJ2ジェフユナイテッド市原・千葉の監督を歴任したイビチャ・オシムさんが80歳で亡くなってから1年となる1日、千葉・市原市のゼットエーオリプリスタジアムに、愛弟子で元千葉MFの佐藤勇人氏(41)羽生直剛氏(43)ら「オシムチルドレン」が集結した。

オシムさんの命日に、佐藤氏が発起人のプロジェクト「JAPANIZE FOOTBALL」が始動。柱の1つでもあるサッカー教室に参加した100人の子供たちは、オシムさんの練習メニューでおなじみの、色とりどりのビブスを身に着けた。同色ビブスへのパスが制限されるなど、考えてプレーすることを求められた。

練習を見守った佐藤氏は「簡単じゃないから、どんどんトライして! チャレンジして! 味方が誰か、相手が誰か、判断して」とコーチング。プロジェクトのアンバサダーを務める羽生氏も「判断して、判断して!」と子供たちに呼びかけていた。

トレーニング後に羽生氏は「みんな楽しかったって言ってくれたけど、難しくてつまらなかった人、いない? ルール設定めちゃくちゃ細かくて、何だこれって思ったよね?」と問いかけた。

続けて「僕らも初めてオシムさんの練習でやらされて『何だこれ』ってなった。それまでの当たり前だった練習を覆されて。パニックな状態だった」と恩人との初めての練習を振り返り「でも、誰がどこにいるか確認する状態が勝手につくられていた。ボールを持っていない時にどれくらい準備すればいいのか、走れるのかをオシムさんは伝えてくれた。それはサッカーの重要な要素。そういう目線でサッカーをしてくれたら」とその意図をかみ砕いて伝えた。

イベント後に取材に応じた佐藤氏は「普通にサッカー教室をやるなら自分たちじゃなくていい。考えないといけないメニューをつくった。サッカーだけじゃなくて、人生でも考えないとダメなんだよっていうことが子供たち、指導者の方たちにも伝わればいいかなと思って開催しました」と説明した。

サッカー教室は「考える」をテーマに展開し、トレーニング後には、保護者も含めて子供たちが気付きを話し合い、発表し合った。

単なるサッカー教室の枠組みに収まらない活動に、佐藤氏は「これからの日本サッカー、日本は子供たちがメインでつくっていく。自分たちがオシムさんから教わった経験値を全て伝えていきたい。『サッカーとは』『人生とは』っていうところを自分たちも伝えれば」と力を込めた。

ほか、元千葉の井上卓也氏、市原充喜氏、立石智紀氏、要田勇一氏、斎藤大輔氏も参加した。【佐藤成】

◆JAPANIZE FOOTBALL 「日本サッカーの日本化」を本気で考えるためのプロジェクト。オシムさんから学んだことを伝えるサッカークリニックを全国で開催するほか、講演活動などを通してサッカーにとどまらないメンタリティーを伝える。さらに公式サイトを立ち上げて、オシムチルドレンのインタビュー記事、動画などを発信していく。