「親子鷹」で勝利を重ねる。今夏全国高校総体出場の東北学院が、宮城工とのPK戦で4-3と競り勝った。GK橋本脩礼(2年)が2本を止める好セーブで存在感を発揮し、2年連続の決勝進出に貢献した。仙台育英は聖和学園に2-1で逆転勝利した。青森県大会は青森山田と八戸学院野辺地西、福島県大会は尚志と聖光学院が決勝進出を決めた。全国高校サッカー選手権(12月28日~1月8日、国立ほか)出場を懸けた決勝は5日に行われる。

 

東北学院の守護神がチームを救った。試合はリードしても同点に追いつかれ、2-2となった延長でも勝敗は決まらず、運命のPK戦へ。緊張感が漂う、静寂なピッチでの1本目。橋本が昨年栃木国体でチームメートだったキッカーの心を読み、左に跳んで好セーブした。「1本目の人は一番責任がある。キッカーは蹴りやすいところに蹴るのが一番楽」。以降は両者譲らず、4-3で迎えた5本目。右に跳んでも足でボールを防ぎ、喜びながらゴールに迫るチームメートと、笑顔で抱き合った。

新チームから正GKを務め、PKは自信があるという守護神には、頼れる存在がいる。現役時代にGKだった父俊一監督(51)からPKで見定めるコツやテクニックなどを指導され、1歩ずつ成長を遂げた。「最初は体の向きを言語化できない程度の感覚でやっていたが、お父さんから話を聞いて言語化できるようになった」。勝利に大きく貢献した息子について、指揮官は「期待通りに仕事をやってくれた」と目を細めた。

昨年は決勝でPK戦の末、聖和学園に惜敗。当時はベンチ裏におり、悔しさを知る橋本は「俺が止めて『学院のキーパーはすごい』と言わせたい」と、36大会ぶり5度目の全国切符に闘志を燃やした。相手は仙台育英。指揮官は「強い相手。胸を借りるつもりで何とか回復させて、明後日(5日の決勝)を迎えたい」。親子で戦う2度目の冬。県決勝では終わらない。【相沢孔志】