J1昇格初戦の町田は、ホームで“勝ち点2”を落とした。G大阪相手に前半17分にDF鈴木のPKで先制し、主導権を握った。しかし後半15分にMF仙頭の果敢なプレーが裏目に。ファウルで2枚目のイエローで退場となると状況は一変した。猛攻にさらされながらGK谷を中心に守りを固めて逃げ切りを図ったが、後半39分にFW宇佐美に芸術的なFKを決められて1-1のドローに終わった。

「たら」「れば」は勝負の世界に意味をなさないのは承知の上。それでも黒田監督は「退場で守備が崩れた。後半もちゃんと勝負がしたかった」と言葉に悔しさをにじませた。青森山田高を常勝軍団に育て上げ、プロに転籍して2年目。「ありとあらゆる手段でゴールを奪い、ゴールを死守する」厳格なリアリストには大きな誤算となった。

前半はボール支配率45%に相反してシュート数で圧倒、堅守速攻がはまった。青森山田高時代から黒田サッカーにどっぷり漬かるMFバスケスも「前半に2点目、3点目を奪えるチャンスがあった。そこで取れなかったのが最後に響いた」と唇をかんだ。

1枚のカード、1本のFKで勝ち点が変わるのがJ1という舞台。黒田監督は「あのFKはさすが。このクオリティーがJ2とJ1の差」。ホームのGスタは過去最多の観衆1万3506人を記録。親会社サイバーエージェントの藤田晋社長も観戦に訪れた中、チームは勝利への強い執着心を見せた。「戦える手応え、勝ち点1をつかんだことをポジティブにとらえたい」。指揮官は下を向くことなく、この先に広がる現実を見据えた。【佐藤隆志】

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