日本勢最後のとりで、横浜が初の準決勝進出を果たした。退場者を出して10人になりながら、後半30分にFWアンデルソン・ロペスのゴールで山東(中国)に1-0と勝利。2戦合計3-1とした。次は蔚山(韓国)と4月17日(アウェー)と24日(ホーム)に激突。アジアの頂点に向け、また1つ視界が開けた。

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我慢のトンネルを抜けると、歓喜の景色が待っていた。後半30分、横浜がショートカウンターを仕掛けた。縦パスを右奥で受けた宮市からMF山根へとつなぎ、ファーサイドで待つAロペスへ絶妙なクロスボール。エースは迷わず左足のボレーでたたき込んだ。横浜にとって待望の追加点。ゴール裏のサポーターが沸く。トリコロールの三色旗が華やかになびいた。

掲げる「アタッキングフットボール」。10人になっても看板は降ろさなかった。ボランチで攻守を支えたMF渡辺皓が「相手も前に出てくる。耐えればチャンスは出てくる」と言えば、キューウェル監督は「11人だろうが、10人になろうが変わらずやろうとした」。攻撃が最大の防御となった。後半35分には再びカウンターから宮市が抜け出し、決定機を阻止した山東の選手は退場。主導権を握っていたのは横浜だった。

両チームのプライドが激突した。前半から球際で激しくぶつかり合い、ファウルの笛が鳴り続ける。後半開始早々、DF永戸に2枚目のイエローカード。まさかの退場だった。残り時間はロスタイムも含め50分近く。第1戦を2-1で終えて1点リードしていたとはいえ、そのアドバンテージはないも同然。相手は先に川崎Fを同じように食っていた。190センチの長身ブラジル人FWクリサンは変わらず脅威だった。だが肉弾戦をいとわず、チャンスとみるやしたたかに攻め立てた。喜田主将は「どういう形であれ我々の意思、覚悟、たくましさを見せられた」と満足そうに話した。

リバプール時代に欧州CL優勝を経験したキューウェル監督は「こういう大会は個で勝つことは難しい。チーム一丸になることが大事なんだ」。アジアの頂点がまた一歩近づいた。【佐藤隆志】

▽横浜A・ロペス(決勝ゴールに)「ショートカウンターからの連係に始まり、陸(山根)が冷静にクロスを送ってくれた。ニアに走るのでなく、ファーサイドへ冷静に走った。決められてうれしい」