名古屋09年度の新人の目玉、流通経大MF平木良樹(22)はセルティック中村俊輔(30)になれる可能性を秘めたダイヤの原石だ。大学サッカー界のNO・1司令塔の評価を引っさげて加入する左利きのテクニシャンには即戦力としての期待がかかる。清水、新潟などJリーグ複数クラブによる争奪戦の末に名古屋入りする大器に、いち早く迫った。

 黄金ルーキー平木を語る上で、欠かせないのが5つのキーワードだ。

 (1)俊輔!?

 平木は左利きの司令塔でFK、CKでも非凡な才能を持っている。その潜在能力を、数々のプロ選手を輩出した流通経大の中野監督は、あのセルティック中村の名を出して説明する。

 中野監督

 平木は戦術眼に優れ、視野の広い選手です。自らのアイデアを高いテクニックで実際にピッチで披露できる。Jに入ってどれくらいの意識を持って取り組めるかにもよりますが、中村俊輔みたいになれる可能性を秘めていると思います。

 (2)ボリバレント

 流通経大では4-4-2の左MFでのプレーが多かった。名古屋ではMFマギヌンの定位置。ただ、システム変更に伴いトップ下や中盤の底でも活躍してきた。流通経済大柏高3年時には左サイドバックの経験もあるという。

 平木

 チームではサイドハーフから試合をスタートして、展開によって真ん中に入ってボランチでもプレーしていました。持ち味を発揮できるのは、中央でプレーした時。ボールにかかわっている時間が長い方がいいタイプだと思うので。ただ、ポジションにこだわらず少しでも早く溶け込んで、チームに貢献したい。

 (3)大けが

 昨年3月、大学の日韓対抗戦デンソー杯(国立)で全日本大学選抜の背番号10をつけ先発。その試合で相手と交錯し左ひざの前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがを負った。半年以上を棒に振ったが、回復は順調で大学生活最後の試合となった選手権準決勝筑波大戦(7日、平塚)では延長含む110分間フル出場。この故障で精神的にもたくましくなった。

 平木

 ケガをしたことで今まで以上に、支えてくれた人、心配してくれた人のために頑張らなきゃいけないなと思うようになりました。もう不安もないですし、キャンプからフルメニューこなせる状態で合流したいと思います。

 (4)即戦力

 プロ2年目の昨季Jリーグベストイレブン&新人王となったMF小川も大卒ルーキーだった07年開幕戦はベンチ外だった。プロの世界は厳しいが、チームが大幅な若返りを断行した今季はチャンス大。クラブ側の期待も大きい。

 名古屋・久米GM

 平木は即戦力。スカウト陣からもそういう報告が上がってきている。ひざのケガがなければ争奪戦がもっと激しくなって、ウチに来てくれたかどうか分からないほどの選手ですから。開幕戦のベンチには入って欲しい。

 (5)負けず嫌い

 自身の性格を「負けず嫌い」と即答した。このメンタリティーはストイコビッチ監督にも通じる。素材の宝庫である同大からは同級生が平木含め13人もプロ入り。出世レースでも負けられない。

 平木

 とにかく人に負けるのが大嫌いなんです。プロになったら目標の選手がだれというより、目標とされる選手になりたい。同級生とのプロでの対決は楽しみですね。

 期待のレフティーは、20日前後に豊田市内の寮に入寮し、25日にお披露目される予定だ。