元札幌戦士が、北海道サッカー界のために立ち上がる。コンサドーレ札幌OBの野々村芳和氏(36)黄川田賢司氏(34)大森健作氏(33=日刊スポーツ評論家)ら6人が、道央ブロックリーグの小樽FCに加入することが、14日までに決まった。既に5月17日の開幕戦に向けて調整中。最短2年後のJFL参入も視野に入れながら、道内サッカーの底上げや普及活動のため、再びユニホームを着る。

 かつて札幌のJ1昇格に貢献した選手たちが、再び北海道のピッチに帰ってくる。小樽FCでのプレーが決まった黄川田氏は「サッカーだけでなく、子供たちに夢を与えられるようなプレーや活動ができたら」と意気込んだ。大森氏も「気持ちを出したプレーができれば。声や経験を生かしたコーチングでチームに貢献したい」と闘志を見せた。

 活動休止の危機にあった小樽FCと、プロ選手として培った経験を北海道に還元したいという6人の思惑が合致した。「サッカーを通じて何か北海道を元気づける手段がないか考えていた」と黄川田氏は言う。小樽FCは昨季から、試合日に常時メンバーがそろわず、8人で試合に臨むなど苦戦続き。今季のリーグ参戦も断念しようとしていた矢先に、同FCの窮状を聞きつけた黄川田氏らからの“ラブコール”が届いた。

 退団者が相次ぎ、存続問題に陥っていた小樽FCの久光義信監督(37)も「素晴らしい話をいただき、本当にありがたい」と大歓迎。すぐさま意気投合し、計6選手が今季新戦力としてチーム登録することが決まった。

 6人はサッカースクールでの指導や、評論家活動に携わりながら復帰へ向け、トレーニングしている。5月17日の開幕戦には黄川田氏、大森氏、佐賀氏の3人が参戦する予定。「まずリーグに出られることがうれしい。道リーグ昇格へ向け1つ1つ足場を固めたい」と久光監督。今季の道央ブロックリーグで優勝すれば最短2年後のJFL参入も可能な、夢プロジェクトのスタートになる。

 新生小樽FCは、子供たちへのサッカースクールや講演会など、地域に根ざした普及活動も並行して行っていく。個人、企業問わず支援者を募り、サッカーを愛する誰もが仲間に入れるスタイルを築いていく。チームは今季が創立20周年。観光地小樽から、新たなサッカー文化が芽吹こうとしている。【永野高輔】

 野々村氏(00~01年在籍)

 1度引退したが、まだまだ元気にプレーできる姿を見せたい。道内サッカーを盛り上げたい。

 堀井岳也氏(33=01~05年在籍)

 札幌時代はたくさんのファンの声援が力になった。しっかり体力をつけて、当時と変わらないプレーを見せたい。

 佐賀一平氏(28=99~00年在籍)

 お世話になった北海道に恩返しがしたい。当時の知人もたくさんいるので、燃えてきました。

 権東勇介氏(26=04~05年在籍)

 また勝負の世界に戻れるということで、わくわくする。新しい視点に立ってサッカーと向き合いたい。