<J1:浦和1-0千葉>◇第7節◇25日◇フクアリ

 浦和が、千葉を1-0で下し、今季初の首位に立った。後半13分、MF山田直輝(18)が、サイドを突破し、左クロス。ファーサイドにいたFWエジミウソンが頭で合わせ、決勝点となった。山田直は前節京都戦で右太もも裏に張りを覚えながら、この日の試合に合わせて調整。プロ初アシストが、決勝アシストとなった。チームは4戦連続の完封勝利。4試合連続の1-0勝利はJ1史上初で、昨年8月27日に陥落して以来、241日ぶりの首位となった。

 身長166センチの18歳は、チームになくてはならない存在になっていた。後半13分、左サイドでMF阿部がボールを持っていた。「行けるかなと思った」と、山田直は阿部の外側を駆け上がり、サイドを突破。左足で、ファーサイドに放り込むと、FWエジミウソンが頭で合わせた。「(自分で)得点するチャンスもあったけど、今日はアシストできたんで」と、プロ初アシストを喜んだ。

 18日の京都戦で右太もも裏に張りを覚え、Uー20日本代表合宿を辞退。23日に全体練習に合流したばかりだった。それでもフィンケ監督は「休ませる考えは一切なかった。前日の練習も問題なくやっていた」と、後半44分まで起用した。期待に応えるように、山田直は雨で滑りやすくなったピッチに関係なく、豊富な運動量で相手にプレスをかけては、パスを出して前に上がる。献身的かつ若さあふれるプレーの先に、決勝アシストがあった。

 リーグ戦4連勝となった4試合はすべてに先発。前節までの3試合はフル出場だった。日本代表経験のある選手を多数抱えるチームで、左MFの座を不動のものにしつつある。視察に訪れた日本代表の岡田監督からも「レッズでレギュラーを取ってるんだから、良い選手なんじゃないの」と感心された。

 自らの「感覚」を武器にプレーする。試合前は、あえて対戦相手の情報を頭に入れない。「試合が始まったら(データ等は)忘れてしまうし、どういう布陣かも意識しない。自分が感じたことが優先」という。決勝点を呼んだ左クロスも、足がもつれ、山なりになった「ミスキック」だった。「速いボールを蹴ろうとしていた。でも、入ったんで良かったです」。さらに「左サイドでボールを回していたから、(ゴール前に誰かが)入ってくるだろうなと思った」。エジミウソンの動きを、流れの中で冷静に読んでいた。

 勝ち点で並んでいた首位鹿島が山形と引き分けたため、チームは単独首位に立った。フィンケ監督は「現時点では、順位は気にしていない」としながらも「チームで一貫して攻撃的な守備ができているから、相手より多くの得点チャンスも生まれる。このままいけば、良い結果を残せるかもしれない」と、チームの成長を感じ取っていた。【今井恵太】