磐田が、退団の決まっている元日本代表FW中山雅史(42)の背番号「9番」を、来季FW前田遼一(28)に託す方針であることが13日、分かった。前田は今季リーグ全試合フル出場中で、現在得点ランク単独1位(18得点)。今年は代表にも復帰し、名実ともに磐田のエースになった。しかし、契約は今季終了までで他クラブからの獲得オファーが予想される。そこでクラブは、中山が前身のヤマハ発動機時代から20年間背負い続け、磐田の象徴とも言える番号を切り札に早くも動きだす。

 クラブは最大限の評価をし、全力で放出を回避する。すでに今月6日に契約延長のオファーを出した。昨年の経常損益で、2億5000万円以上の赤字を出す苦しい台所事情の中、結果を残したエースに複数年での年俸アップを提示。さらに次回の交渉の場で、現在の18番から9番への変更を打診する予定だという。

 「磐田の9番と言えば中山」。あまりにも定着したイメージが、プレッシャーになりかねない危険性もあるが、強化幹部は「9番を背負えるのは、遼一しかいないと思っている」と早急に決断。磐田の歴史を、次世代へとつないでいくつもりだ。