<J1:鹿島1-0浦和>◇最終節◇5日◇埼玉

 試合終了の笛が鳴り響いた瞬間、両手を真横に広げ、歓喜の雄たけびを上げた。オリベイラ監督は史上初の3連覇を成し遂げた選手たちの歓喜の輪に突進した。「歴史に名を残すような快挙を成し遂げ、言葉に言い表せない感動を感じている」と目を潤ませた。

 3年間のチームづくりが結実した。07年2月。就任直後の宮崎合宿で自身が率いていたブラジルの名門コリンチャンスなどのビデオを選手たちに見せた。堅守からの速攻、ボールを奪われた後の守備。鹿島の持ち味だった攻守の切り替えの速さをさらに磨き上げるための意識付けだった。

 柔軟な対応で活路を見いだした。小笠原が故障離脱するなど過密日程に泣いた昨季を反省。今季は練習中に選手と個別に会話することで疲労が蓄積していると判断すると、即座に練習を切り上げさせた。チーム全体の練習を切り上げたこともあるほどだった。

 来日時、選手とスタッフの顔と名前を全員覚えてきたほど、日本への順応に力を入れてきた。選手の精神面を確認するために、日本人のメンタリティーを知るチームスタッフの意見に素直に耳を傾けた。不振な選手の姿をおもんぱかり、みんなの前で泣いたこともある。鈴木満強化部長は「人の意見を聞く耳がある」と称賛するまじめな姿勢が偉業達成につながった。

 来季は4年目の指揮を執ることが決定的。「この3シーズンの中で強くなったと感じている。本当に言葉に表せないほどの感激を感じている」。この日59回目の誕生日を迎えた名将の視線は既に来季のリーグ、ACLに向けられていた。