<ナビスコ杯:清水2-0湘南>◇31日◇1次リーグB組◇アウスタ

 J1清水が湘南に快勝した。完封劇の立役者は5年目でプロ公式戦初出場のGK武田洋平(22)だ。再三のファインセーブで「無失点デビュー」を飾った。

 「やっとエスパルスの一員になれた」。ようやくたどり着いた“初舞台”で武田が完ぺきな仕事をやってのけた。試合後のヒーローインタビューで「やったぞー!」と、喜びを爆発させた。カウンター中心の攻撃を仕掛ける湘南の好機を阻止した。まずは前半24分、至近距離から相手シュートを体に当てブロック。同30分、ゴールのコーナーを突いたミドルシュートに左手を伸ばしセーブすると、同31分にもタイミングのいい飛び出しで再び1対1のピンチをファインセーブで死守した。チームの最後尾で味方の得点を我慢強く待ち続けた。

 湘南には2週間前にサテライトの練習試合で0-5の大敗を喫しているだけに何度もビデオで相手の戦術を研究し「3トップが中に入ってくるのと、サイドDFが攻撃的にくるのは分かっていた。今日の試合でもそのとおりだったので慌てなかった」。再三のピンチを阻止しても「そんなにピンチいうわけでもなかった」と、まで言ってのけた。

 プロ入り5年目で初の公式戦出場で緊張していた。「前日からアウスタに来る前まではヤバかったっす。正直、マイナスなイメージばっかりが頭をよぎった」。それでも、試合になれば冷静だった。長谷川監督を「前半は点を取られてもおかしくないシーンが2度、3度あった。その中で、武田がよく死守してくれた」と、うならせた。

 チームは今季リーグ開幕から公式戦5戦負けなし(3勝2分け)で好スタートを切った。「自分が出て、黒星をつけたくなかった。ホッとした感じですね」と胸をなでおろした。そして「次の目標はレギュラーをとること」と力強く宣言。大きな1歩を踏み出し、武田の不安は自信へ変わった。【為田聡史】