<J1:名古屋2-1磐田>◇第33節◇27日◇ヤマハ

 磐田の日本代表FW前田遼一(29)が、名古屋戦で史上9人目となるJ1通算100ゴールを達成した。0-2で迎えた後半35分、左CKから頭で合わせた。試合は1-2で敗れたものの、磐田の先輩であるFW中山(札幌)MF藤田(熊本)らに続き日本人で5人目、最年少での偉業達成。これで今季16得点として得点ランクでも首位タイに並び、J史上初となる2年連続得点王も視野にとらえた。

 節目の1発はリーグ王者から奪い取った。左CKのボールを、前田は遠いサイドから走り込んだ。190センチ前後の選手に囲まれながら、逃れるように動いてニアサイドでヘディング弾。通算100ゴールを意味する巨大ユニホームがバックスタンドに掲げられた。試合は敗れた。しかし、ホーム最終戦での偉業達成に会場は沸いた。「勝てなかった」という悔しさを温かい拍手が包み込んだ。

 一番思い出に残っているゴールを「最初のゴール」だという。プロ2年目の01年9月の清水戦、途中出場から後半43分にドリブル突破でDFを振り切ってGKもかわし、右足でゴールを決めた。「その前のミスが失点につながっていたから、絶対になんかやんなきゃと思っていました」とゴールの喜びを味わってから10年目。今も変わらず「チームの助けになるプレーを心がけた」とチームプレーを続け、100の数字を積み上げた。

 帰路につくファンの手には、前田からの感謝の気持ちが握りしめられていた。大台が近づいてきた今年10月、前田という名前に合わせて、60年代にヒットした前田製菓の「あたり前田のクラッカー」の前田遼一特製バージョンを1万5000袋作製。ファンの手に届けられ「期待に応えられてよかった」と話した。

 100ゴール達成の先には2年連続得点王も見えている。これで今季16得点で首位タイ。泣いても笑ってもあと1試合だ。「点を取って勝てるようにしたい」と、前田は101ゴール目を見据えた。【栗田成芳】