磐田在籍13年目を迎えたMF西紀寛(30)の今季前半戦出場が絶望となった。前日29日の練習中に負傷して病院に運ばれたが、検査の結果、右アキレスけん断裂で全治6カ月と診断されたことが30日、明らかになった。31日に浜松市内の病院で手術する。昨季、攻撃的MFとしてリーグ戦31試合に出場するなど、黄金期を知るベテランを長期間欠くことになった。アジア杯優勝に導いた日本代表FW前田遼一(29)への祝福ムードから一転、残念な知らせとなった。

 磐田に衝撃が走った。西が故障したのは29日に行った今季初めて実戦形式の練習だった。10対9の変則ゲーム中に球際で力を入れた瞬間にその場で転倒。全く動くことができず、カートに乗せられてグラウンドを引き揚げていた。ただちに病院で治療を受けたが、検査の結果はアキレスけん断裂で全治6カ月の重傷だった。柳下正明監督(51)は「過去に復帰してやっている人もたくさんいる。しょうがない」と話した。

 西は9年連続で開幕戦先発出場を果たしており、明るい性格でチームを引っ張ってきたムードメーカー的存在だ。06年6月(当時東京)に同じ故障で苦しんだDF金沢は、負傷後の西から電話を受けたことを明かし「精神的につらいと思うけど、またひと回り成長してくれれば」と心中を察した。金沢が練習に合流できたのは同年12月上旬で、復帰後も再発の不安と闘いながらのプレーを余儀なくされたという。

 31日にアジア杯を終えたFW前田も帰国し、5日間の休養後に合流の予定だ。同僚の快挙を手放しで祝福したいが、この日の磐田イレブンの多くは口数が少なかった。柳下監督は「西のプレーをしろと言うのは無理。流動的になるだろうけれど、他の人にチャンスが回ってきたということ」と毅然(きぜん)と話した。代役候補にはMF菅沼や、MF山本康らの名前を挙げた。長年右サイドでコンビを組んできたDF駒野も「西さんが安心して復帰できるように他の選手がやっていかなければならない」と前を向いた。今こそチーム一丸になる時だ。【神谷亮磨】