復興元年のJリーグは、仙台と鹿島という東日本大震災被災地同士の激突で幕を開ける。ホームで迎え撃つ仙台MF関口訓充(26)は9日、震災後のリーグ再開初戦となった昨年4月の川崎F戦のように、再び被災地に勇気を届ける戦いを誓った。
関口の脳裏には、2011年4月23日の等々力が浮かんでいた。震災で中断していたリーグ再開初戦のアウェー川崎F戦。2-1。先制を許しながら追いつき、最後はクラブ史上初のアウェー逆転勝ちだった。「やっぱりあれがでかかった。ましてや相手はフロンターレ。優勝を争うチームですからね。自信にもなりましたし、サポーターにも勇気を与えられた試合だと思う」。中でも右足をつりながら執念の同点ゴールを押し込んだMF太田の姿は、被災地に感動を呼んだ。
そこから快進撃を続けて4位。昨季、唯一2戦2敗と完敗した格上の鹿島相手に“再現”を狙う。「内容が良くても結果がついてこなければ意味がない。勝つことが一番。チームに勢いと落ち着きも出る」と勝利にこだわる姿勢を見せた。ともに被災地クラブ。勝つことで地元を、日本を勇気づけたい願いは同じだ。関口は「お互い地震が起きて、復興に向けて協力し合った。ぶつかるのはつらいところもある」と話すが、復興への思いを存分にぶつけられるカードであることも理解している。
すでに入場券が完売し、試合は地上波で全国生中継。手倉森監督は「いよいよサッカー界が、2012年の復興元年へ力を注ぐ時が始まる。復興への希望と勇気、それを感じてプレーできる方が明日は勝つ」と熱っぽく語った。昨季掲げた「希望の光」から「東北のシンボル」を目指す、仙台の新しい1年が始まる。【亀山泰宏】<仙台
震災からの経緯>
◆3月11日
翌日のホーム開幕戦(対名古屋)へ向け午前中に練習後に被災。クラブハウスは半壊状態に
◆12日
選手、スタッフらの家族の無事を確認。チーム活動再開の無期延期を決定
◆14日
FWマルキーニョスらが一時帰国
◆28日
チームが再始動。選手、スタッフ48人で宮城・石巻で復興支援活動を行う。4月23日のリーグ再開が決定
◆4月4日
千葉・市原キャンプスタート
◆7日
マルキーニョスが震災を理由に退団
◆23日
リーグ再開戦。アウェーで川崎Fに劇的な2-1逆転勝ち
◆29日
浦和とのホーム開幕戦を1-0で飾り2位浮上
◆6月22日
開幕12戦無敗を達成
◆12月3日
リーグ最終戦。神戸を下し4位浮上で終了。ACL出場は逃す
◆17日
天皇杯4回戦で敗れ、11年終戦