高級ブーツ2足を盗んだとして、群馬県警高崎署は22日、サッカーJ2「ザスパクサツ群馬」選手の後藤涼容疑者(27)を窃盗の疑いで逮捕した。盗まれたブーツは転売されていたという。後藤容疑者は05年4月に前橋育英高校から同チームに入団。草津温泉の温泉施設で働きながらサッカーの練習を続け、トップチームに入ってからはFW陣の中心人物の1人として活躍していた。

 エースFWの逮捕に、サポーターは困惑している。群馬県警高崎署によると、後藤容疑者の逮捕容疑は、8月8日午後9時から30日午前11時の間、高崎市内の衣料販売店で、ブランド品の中古ブーツ2足(計約15万3300円相当)を盗んだ疑い。

 ブーツは長いブーツが1足、短いブーツが1足の計2本。県警によると、盗まれたブーツが他の店に転売されていたことが判明し、その後の調べで、後藤容疑者の関与が分かった。

 調べに対し「ブーツを盗んだことは間違いない」と容疑を認めている。盗んだ方法について「店員の目を盗み、店頭の商品をバッグに隠し入れて盗んだ」と説明しているという。

 後藤容疑者は05年4月、前橋育英高校から同クラブに入団。草津温泉の「ベルツ温泉センター」で働きながらサテライトチームで練習を続け、J2のリーグ戦5試合に出場し2得点を上げ、トップチームに上がった。地元の名門から群馬のチームに入団し、中心選手の1人に成長した生え抜きのストライカー。後藤容疑者を知るサポーターは強いショックを受けており、「気持ちの整理が着かない」と話した。

 サテライトチームの選手は草津温泉で働きながらトップチームを目指して練習している。草津温泉協同組合の幹部の1人は「給料は安いかもしれないが、クラブと地域とのつながりはどのチームより強いと自負してきた。こういう選手が出ると、築き上げてきたものが全部ゼロになってしまいそうで、残念だ」とガックリした様子で話した。

 チーム運営会社の植木繁晴ゼネラルマネジャー(59)は22日午後、前橋市内で会見し「応援してくれる方々におわびしたい」と謝罪。苦しい環境で苦労をともにしてきただけに「ショックを受けている」と語った。続けて「なぜこんなことになったのか、直接動機を聞きたい」とした上で、「事実確認をして、厳しく処分したい」と述べた。

 後藤容疑者はJ2で通算204試合に出場し30得点を上げていた。今季から背番号9番を着けたが、故障に苦しみ、37試合中、出場できたのは4試合で、得点はなかった。

 ◆ザスパクサツ群馬

 1995年に群馬県社会人サッカーリーグに所属する前身のリエゾン草津が発足。消滅の危機に立たせられながらも2002年に草津温泉旅館協同組合の支援を受けて再出発。ザスパ草津と改称して、本格的な強化を開始した。03年には日本協会へ「Jリーグ入りを標ぼうするクラブに対する優遇措置」を申請し、特例で全国地域リーグ決勝大会への出場資格を獲得。優勝しJFLへ昇格した。04年JFL3位になり、J2昇格を果たした。12年、赤字経営が続くため「県全域から支援を受けたい」として、チーム名を「ザスパクサツ群馬」に変更した。