ドイツを2大会連続の敗退へと追い込んだのは、見えない敵である日本だった。
ドイツにとって、日本がスペインに勝つことは想定外だったに違いない。
仮に日本-スペインが引き分けだとしても、ドイツは勝利すれば勝ち点4で日本と並び得失点差の勝負となっていた。
日本が引き分けなら得失点差は0。試合前まで得失点差がマイナス1のドイツは、2点差以上でコスタリカに勝てばプラス1以上となり、これを上回る。
前半10分にFWニャブリのヘディングシュートで先制。ただ、圧倒的な攻撃を仕掛けても、追加点を奪うのに時間がかかった。
後半の連続失点で一時は勝ち越しを許すも、同23、40分とチェルシーのFWハバーツが立て続けにゴールを決めて逆転。何度もポストにも嫌われた。それでも、終了間際にFWフュルクルクが決めて、「2点差以上の勝利」という条件はクリアした。
ただ、同時刻開始で行われていた日本-スペインで、日本が2-1で逆転勝利。これを知ったドイツのメンバーは、表情を失った。
勝ち点4で並んだのは日本ではなく、スペインだった。
スペインは初戦のコスタリカ戦を7-0で大勝しており、得失点差でドイツは届かない。
W杯を制すること4度。強豪ドイツを1次リーグで引きずり落としたのは、目の前の敵ではなかった。
紛れもなく、大金星を2度続けた日本が、ドイツの壁となったのである。