テレビは朝からサッカー一色だ。日本が圧倒的不利な予想を覆してコロンビアに勝利-。それも、強豪相手に堂々と渡り合っての勝ち点3だった。堅守速攻に徹する現実的な戦い方ではない。ボールを保持し、試合を支配して勝った。

 「相手が10人になったから」という見方もある。しかし、前回大会のギリシャ戦で10人相手の守備を破れなかったことを考えれば、素晴らしかった。「ラッキー」な面があったのは確かだが、決してそれだけで勝ったわけではない。

 同点に追いつかれ、嫌なムードが漂ったハーフタイム。西野監督はポジショニングでの優位性を保つことを指示した。柴崎と香川が距離感を保ったままで右よりから中央上がり目に位置を修正。原口が中へ入ったことで、右サイドにスペースができた。そこを酒井宏が積極的に使った。

 相手陣深くでパスを回したことで、多くのチャンスが生まれた。相手を疲れさせることもできた。強豪相手に「引き分け狙い」ではなく勝ちにいった結果の2-1勝利だった。西野監督は「小さな奇跡」と言ったが、これを「奇跡」で片付けては監督と選手たちに申し訳ない。巧みな戦術を選手が遂行し、試合を完全に支配したのだから「必然」の勝利ともいえる。

 チームは次のセネガル戦への準備に入る。日刊スポーツはもちろんメディアも一斉に「どう戦う?」「キーマンは?」と対策を報じる。学校も職場も、同じようにW杯が話題になる。セネガル戦が終われば、ポーランド戦。さらに、イングランドかベルギーか…。サッカーは、それが楽しい。ルールや選手が適度に知られているから、話も弾む。幸せな気分になれる。

 スポーツ界の「不祥事」と呼ばれるような事件が続く。報道しなければいけないのは当然だが、一方的に「悪者」を作り上げてつるし上げるような一部の報道に不快感も覚えることがあったのも事実だ。それに比べて「W杯日本勝利」はどれだけ気持ちがいいか。世界のサッカーが見られるW杯の楽しみは大きいが、やはり日本代表の活躍に勝るものはない。まだまだ始まったばかり。幸せな気分が、ずっと続くといい。

初戦に勝利した日本の選手たちはサポーターの歓声を浴びながら引き揚げる(2018年6月19日撮影)
初戦に勝利した日本の選手たちはサポーターの歓声を浴びながら引き揚げる(2018年6月19日撮影)