西野朗監督(63)率いる新生日本代表(FIFAランク60位)がワールドカップ・ロシア大会への壮行試合でW杯に出場しないガーナ(同50位)に0-2で完敗した。
日本代表の西野監督が腹を決めた。ガーナ戦の後半、病み上がりのMF香川真司(29)とFW岡崎慎司(32)、試合勘が鈍っていたMF井手口陽介(21)をテスト。この3人を見た試合後に「全員を試せた」との言葉を発し、最後の判断材料を得たことをうかがわせた。今日31日午前の実施が検討されていた練習試合を急きょキャンセルしていたことも判明。午後、最終メンバー23人を発表する。
西野監督の脳裏に引っ掛かっていた男たちが、選考の土俵となるピッチに立った。「はっきり言えば、香川、井手口、岡崎」。最終決断を前に悩まされていた選手は3人。香川は後半開始から出場し、岡崎は14分から。井手口は31分から最終6人目の投入となり、終了の笛が鳴るまで駆けた。
最も出番を与えられたのが香川だ。後半開始前、サイドラインに背番号10が立つと、6万4000人超の観衆が沸き立った。西野監督から「ボランチの両脇でボールを受けてくれ。あとは自由に動いていい」との指示で送り出されると、さっそく3分、そのエリアを突く。右サイド酒井高からの折り返しに右足を合わせた。GK正面だったが、上々の滑り出し。1分後にも左足でシュートを放ち、1トップの左下で好機を演出した。途中からトップ下、左サイドハーフへ回った。
今月2日、西野監督はドイツ・ドルトムントに香川を訪ねた。2月から3カ月間も戦列を離れた左足首痛の状況を聴き取り、代表愛も強く感じた。ただ、実際にプレーを見られなかったことがネックになった。その中で45分間、香川はプレーした。指揮官は「試合から遠ざかっている選手が今日(状態が)整って出られた。彼らがプレーできたことは本当にうれしく思います」。岡崎は4月の左足首負傷後、初の実戦。井手口はスペイン2部で2月18日の試合に出て以降、初だった。代表からも遠ざかり、試合勘の鈍りが懸念された3人のテスト完了。香川は「違和感はなかった。もっと良くなる」と納得した。
これが西野監督の迷いを解消した。日本協会の関係者によると、検討していた今日31日午前の練習試合を行わない方針が固まった。西野監督は交代6枠の制限の中で「全員を試せた」と発言。26人から23人に絞る作業を前に、本当に見たかった「全員」は「3人」だった。問題なくプレーできたことでメンバー選考の障壁がなくなり、追試で点数をつける必要なくなった。
一方、この試合で出番のなかった当落線上の選手、FW浅野とMF三竿は難しい立場になった。しかし、関係者によると、バックアップメンバーとしてロシアまで同行する可能性が模索されている。若い2人は、その候補かもしれない。問題は乾だ。右太もも負傷で別メニュー調整が続き、最後まで実戦練習に加われなかった。筋肉に大きな血腫があったといい、本大会には間に合わない可能性もある。ただ、最後に試した3人と天秤に掛け乾を待った方がいいと思うのか。西野監督が決める。【木下淳】