左足中足骨の骨折で戦列を離れていたドイツ代表GKマヌエル・ノイアー(32=バイエルン・ミュンヘン)が、オーストリアとの国際親善試合にフル出場し、約8カ月半ぶりの実戦復帰を果たした。試合は1-2とまさかの敗戦で守護神復帰戦を飾れず。ワールドカップ(W杯)前回王者は2連敗で、ここ5試合勝利なし(3分け2敗)と不安を払拭(ふっしょく)できなかった。

 14年W杯ブラジル大会で最優秀GKを獲得したノイアーが、ピッチに戻ってきた。練習中に負傷して手術を受けたため長期離脱。9月16日のマインツ戦以来となる259日ぶりの実戦で、キャプテンマークを巻いてフル出場。ブランクを感じさせない動きで復調をアピールした。レーウ監督は待望の守護神復帰に「マヌエルには満足のいく復帰戦だったと思う」と喜んだ。

 さすがの動きを見せつけた。前半32分に右からドリブルで持ち込まれたため、クロスを意識させられたが、至近距離からのシュートに体勢を立て直して右手だけで防いだ。後半9分には、ゴール前のスルーパスからピンチを迎えるが、瞬時に間合いを詰めてシュートブロック。指揮官は「もう100%の状態。ホッとしている」とコメント。素早い飛び出しで世界を震撼(しんかん)させた前回大会の主役は健在だった。

 一方でチームはW杯に出場しないオーストリア相手に32年ぶりの黒星。W杯欧州予選は10戦全勝。コンフェデレーションズ杯も若手中心で臨んで優勝と、憎たらしいほどに力を見せたが、国際親善試合でまさかの5試合未勝利となった。

 レーウ監督は試合後に「負け方がよくない。今日ほどボールを失ったことはあまりない。怒りを感じながら試合を終えた」と不満を口にした。チーム状況が芳しくない中で、プレーでも精神的にも頼れる主将の復帰が何よりも好材料。最後は「本大会までは修理できると確信している」と力強く語った。【中野吉之伴通信員】