ネイマールが鮮やかな復活ゴールを決めた。ワールドカップに向けて国際親善試合が各地で行われ、ブラジルはクロアチアを2-0で破った。2月の右足負傷から故障離脱していたブラジルFWネイマール(26=パリサンジェルマン)が、約3カ月半ぶりに実戦復帰し、後半24分に強烈な右足シュートを突き刺した。エースの復調ぶりが懸念されていた中、いきなり結果を出し、「カナリア軍団」は王座奪回へ一気に勢いづいた。

 周囲の期待に“一発回答”で応えたのが、スーパースターの証しだった。ネイマールは後半からフェルナンジーニョに代わって出場。リバプールの本拠地ながら大拍手を浴び、24分後には鮮やかな個人技でゴールを決めた。コウチーニョからのパスを左サイドで受け、ペナルティーエリアに入り、2人に挟まれた隙間をすり抜ける。もう1人に詰められた瞬間、迷わず右足を振り抜いた。

 「この日のために努力してきた。またサッカーができて幸せだ」。2月25日のマルセイユ戦で右足首を負傷し、骨折と診断され、残りシーズンを棒に振った。ブラジルでリハビリを重ねたが、当初は復帰時期が不透明で、W杯に間に合うのか、故障は完治しても試合勘が戻るのか懸念された。だが、天才にとって実戦不足など杞憂(きゆう)に過ぎなかった。

 ゴールの瞬間は「助けてくれたドクターや家族、友人のことが頭に浮かんだ」と支えてくれた人たちへの感謝を忘れない。全体的に運動力が少なく「まだ80%の状態」という。この日もピッチに出ると、最初のうちは下がって球を受け、感触を確かめる場面があった。だが、チチ監督は「故障明けだったから、ここまでは期待していなかった」と予想以上の仕上がりを素直に喜んだ。

 やはりエースの復帰はチームを活性化する。難敵クロアチアにボール保有率60%で快勝。コウチーニョやビリアン、フィルミノらの持ち味も引き出した。「ネイマールの才能がチーム全体を巻き込んだ」と、指揮官はゴール以上に相乗効果の大きさを口にした。