日本代表で約8カ月ぶりに先発したMF香川真司(29=ドルトムント)が3得点に絡んだ。後半6分にMF乾の同点ゴールをお膳立てし、18分に勝ち越し弾をアシスト。ロスタイムには代表通算30得点となる4点目を決め、MF本田とのトップ下の先発争いで猛アピールした。2月に左足首を痛めて以来4カ月ぶりのフル出場。合宿中はサブ組に甘んじてきたが、19日のワールドカップ初戦コロンビア戦へ完全復活した。

 背番号10が復権だ。香川がV弾アシストで逆転勝利に貢献した。1-1の後半18分、右MF武藤からのパスを右足アウトサイドで軽やかに後方へ流す。これに反応した乾が右足でゴールに蹴り込んだ。C大阪時代にコンビを組んだ乾と「武器になることを証明できた」と喜びを分かち合った。

 3-2の試合終了間際には8カ月ぶりのゴールも決めた。ドリブルでペナルティーエリアに進入し、1人かわして右足を振った。ゴール左へ代表通算30点目。後半35分にMF原口からの絶好パスを、ふかしていただけに「ずっと外していたので、最後に決められて自信になった」。オウンゴール以外の全3点に絡み、W杯に向けた得点イメージのアップデートを完了した。

 10年9月4日のパラグアイ戦でも点を決めた。W杯南アフリカ大会のメンバーから外れた後、最初の代表戦。当時21歳は次のW杯で輝くため、再出発の決意をゴールに込めた。しかし、14年W杯ブラジル大会は3戦不発。「集大成」とリベンジを期すロシアへ、同じ相手から復活弾を奪った。

 トップ下で先発し、1点を追った後半6分には乾の同点弾をお膳立て。ラストパス後に乾のドリブルが記録され、アシストこそ付かなかったが、西野ジャパン初ゴールを演出した。「監督が代わり、なかなか攻撃のベースがない状態だったので、自分が入ってベースをつくりたいと思っていた」。合宿ではサブ組が多かったが、W杯前最後の試合で結果を出し、10番の面目躍如。本田とのトップ下の定位置争いで、西野監督は頭を抱えることになった。

 今年2月に左足首を負傷して以来、初となるフル出場も果たし「真司にポジションを取られる」と危機感を口にしていた本田の目の前で攻撃陣を操った。香川復活。日本代表のど真ん中に帰ってきた。【木下淳】