日本代表MF乾貴士(30=ベティス)がW杯初ゴールを決めた。1点を追う前半34分、DF長友が左サイドを突破。パスを受けた乾は迷わず右足を振り抜いた。3万2000人で埋まった満員のスタジアムが一瞬静寂に包まれ、ボールは一直線にゴールへ。ネットが揺れた後、歓喜の声が飛んだ。先制された嫌な流れを、貴重な同点弾で一蹴した。

 「(長友)佑都君がうまく(DFの)裏に抜け出してくれた。その飛び出しから自分の方(ボールが)に来た。最初スルーするか迷ったけど、あの角度じゃ佑都君はシュート打てないと思って、自分がうまくゴールの方向に向けたので、得意なコースだったし思い切って打ってみようかな、と。シュートも少ない時間帯だったし、思い切って打った結果だった」

 乗っている乾はもう止められない。再び1点を追う後半33分、FW岡崎からパスを受けた乾は中央を見た。優しいパスを蹴りこむとMF本田が決めて同点。1ゴール1アシストの活躍で勝ち点1をもたらした。

 滋賀・野洲高でその名をとどろかせた。高2の時に高校選手権で全国初制覇。「セクシーフットボール」の申し子としてこの日は世界を驚かせた。「まだ決められたし、満足していない」。乾の挑戦はまだまだ終わらない。【小杉舞】