2度ワールドカップ(W杯)で指揮した唯一の元日本代表監督、岡田武史氏(61=FC今治オーナー)が「世界を驚かせた」と評価した。「日刊スポーツW杯特別評論家」に就任し、日本トップの経験に基づき展開する「岡田武史論」の1次リーグ第2戦セネガル編。選手の成長と勇気ある姿勢、西野采配を評価した。第3戦ポーランド戦のキーマンには乾と柴崎を指名した上で、戦い方を変える必要はないと訴えた。【取材・構成=木下淳】

 肉体自慢のセネガルに真っ向から立ち向かい、勝ち点1をもぎ取った日本の勇姿に岡田氏は感心した。初戦に続き、現地で見届け「結果はドローだったが『勝ちゲーム』と言っていい。試合後の選手の談話を聞いたが、1人1人が監督のようだった。言われたことをただやるのではなく、自分たちで考えている証拠。ここまで急激に成長できるものなのか」と目を細めた。

 セネガルに対する第一印象は「個の力でぶっちぎるインパクトが強烈。『強い』と思い込んでいた」ものの、映像を見直すと「パスもシュートもうまくない。守備も、アフリカ勢にしては組織立っている程度だった。19歳の右サイドバック(ワゲ)が穴だと思っていたら案の定」と同サイドを切り崩して2点を奪った。

 西野監督の交代もはまった。「(香川)真司から(本田)圭佑は自分でも同じ手を打ったと思うし(岡崎投入で)2トップにしたのも大正解。最良のタイミングだった」。1-2から追いついた場面は左サイドから乾がグラウンダーのクロスを送り、GK前で岡崎がつぶれ、本田に日本初のW杯3大会連続ゴールが生まれた。3枚目の交代カードは宇佐美。「引き分け狙いだったら勝ち越されていたかもしれない。セネガルが2点目の後、逃げ切ろうとして追いつかれたように」と采配の明暗を指摘した。