2度ワールドカップ(W杯)で指揮した唯一の元日本代表監督、岡田武史氏(61=FC今治オーナー)が「世界を驚かせた」と評価した。「日刊スポーツW杯特別評論家」に就任し、日本トップの経験に基づき展開する「岡田武史論」の1次リーグ第2戦セネガル編。選手の成長と勇気ある姿勢、西野采配を評価した。第3戦ポーランド戦のキーマンには乾と柴崎を指名した上で、戦い方を変える必要はないと訴えた。【取材・構成=木下淳】

 序盤こそ、長友がサルに置き去りにされるなどライオン(セネガルの愛称)の猛威に面食らった。「シセ監督の狙いが当たった。だが、1点を取った後は緩んだ」と潮目が変わる。反対に、日本は1点を失っても変わらなかった。これまでW杯で先制を許した試合は1分け6敗。「今までなら怖がってミスしないプレーを選んでいたかもしれないが、腰を引かず前に出て勇敢だった。素晴らしい。世界は驚いたんじゃないか。やはりW杯は選手の力を引き出し、成長を促してくれる。常時この大会に出て、常時こういった試合を続けていけば、次は勝たせてくれるはず」と、さらなる成長曲線の伸びを確信した。

 アフリカ勢には3月の欧州遠征マリ戦で1-1、5月の壮行試合ガーナ戦で0-2と苦戦。セネガル戦も劣勢が予想されたが「追い込まれた時、開き直って1つになれるところが日本人にはある。自分もそうだった」と実感を込める。岡田氏が率いた10年南アフリカ大会も、直前にコートジボワールに敗れるなど4連敗で開幕カメルーン戦を迎えたが、逆境で一丸となり1-0で勝ち切った。ただ、次のステージに進む時期が来た。「追い込まれなくてもコンスタントに実力を出せるようになってほしい。今回は1つ壁を越えた気がした。コロンビア戦は数的優位なのにイージーミスが多かったが、一気にミスが減って驚いた。形がどうであれ、初戦を勝ち切った自信だろう。結果を出すことは大事だ」と再確認した。