2度ワールドカップ(W杯)で指揮した唯一の元日本代表監督、岡田武史氏(61=FC今治オーナー)が「世界を驚かせた」と評価した。「日刊スポーツW杯特別評論家」に就任し、日本トップの経験に基づき展開する「岡田武史論」の1次リーグ第2戦セネガル編。選手の成長と勇気ある姿勢、西野采配を評価した。第3戦ポーランド戦のキーマンには乾と柴崎を指名した上で、戦い方を変える必要はないと訴えた。【取材・構成=木下淳】

 さあ、自身以来2大会ぶりの決勝トーナメントへ。第3戦の相手は既に敗退が決まったポーランドだ。欧州予選で10戦16発の新記録を樹立したFWレバンドフスキが全くの不発。「そのレバンドフスキにボールを入れる以外、あまり攻め手がない。セネガル戦の得点もセットプレーだった。守備はオーソドックスで悪くない。1対1には強い。ただ、チームとして必要以上に恐れる必要はない」という。もちろん謙虚に戦うべきで「選手も分かっているはず。今のまま、やり方は何も変えなくていい」と信頼を寄せる。岡田氏の10年は1次リーグ全3試合、同じ先発メンバー11人を送り出し、突破した。戦術もそうだが、チームもメンタルも安定すれば結果は出る。

 引き分け以上なら他会場の結果に関係なく1次リーグ通過が決まる。キーマンは乾と柴崎だ。開幕前に「大化けするかもしれない」と予言した乾が1得点1アシスト。08年にA代表へ初招集した時の監督だった岡田氏は、当時J2のセレッソ大阪から「面白いものを持っている」と抜てきした。その時から変わらぬ期待が勝ち進む燃料になると信じる。

 柴崎の急成長にも目を見張る。「1つ、チームに味付けをしてくれた。あれだけプレッシャーを受けた中で、柴崎が前にパスを出し続けたことが実は大きかった。1本、セーフティーなパスに逃げると、どんどんプレッシャーをかけられるから。次も勇気を持ってほしい」。ほかにも、セネガル戦の前に「タメをつくれば攻撃に厚みが出る」と注目していた大迫が、シセ監督に「彼を止められなかった」と言わしめるポストプレーで攻撃を活性化した。岡田氏のお眼鏡にかなった選手が躍動の今大会。ベスト16も引き寄せられるか。