コロンビアのMF、C・サンチェスがイングランド戦の後半9分にCKの競り合いからFWケーンを倒して今大会2度目のPK献上を犯した。チームも1度は同点に追いついたが、PK戦の末に敗退。再び国民の怒りを買うことになった。

 C・サンチェスは1次リーグ初戦日本戦でも前半3分にMF香川のシュートをハンドで止め、一発退場となってPKを献上していた。その試合後にはサポーターらから“戦犯”として非難され、C・サンチェスのツイッターには脅迫めいた投稿が殺到。94年W杯米国大会でオウンゴールを献上して帰国後に射殺されたDFエスコバルの写真と並べる投稿もあり、その身を案じる声も挙がっていた。

 しかし、そこからチームは2連勝で1次リーグを突破。失態が帳消しとなったC・サンチェスも「確かに脅しはあったけど、深刻なものじゃなかった。それは素晴らしいことじゃないけど、物事がうまくいくと思っていたよ」と安堵(あんど)していた。

 そんな中で再び起こったイングランド戦でのPK献上。今度はチームが大会から敗退することになった。ペケルマン監督は「大きな混乱や錯乱があった。サンチェスとケーンのプレーに対し、自分たちは困惑した」と主審のレフェリングに不満を示した。

 94年大会主将だったエスコバルは、周囲の声をよそに「説明責任がある」と母国に戻って事件に遭った。時代背景が違うとはいえ、C・サンチェスを心配する声が高まっている。

 ◆エスコバルの悲劇 94年7月2日未明にコロンビア代表DFエスコバルがメデジン市内で射殺された。エスコバルはW杯敗退が決まった1次リーグ第2戦の米国戦でオウンゴールし、帰国。市内のバーで居合わせた3人組の男と口論となり、駐車場で計12発の銃弾を浴びた。犯人はサッカーを非合法な賭けの対象としていた麻薬組織の関係者とされ、米国戦の敗戦で大金を失った組織の人間が犯行に及んだ可能性が高いとされている。エスコバルは同年に交際中の女性と結婚する予定だった。