ホームの大歓声を背に旧ソ連時代の66年イングランド大会以来となる4強を目指すロシアは、決勝トーナメント1回戦スペイン戦で負傷したMFジルコフに代わって今大会3得点のMFチェリシェフが先発した。

 一方で98年フランス大会以来の準決勝を狙うクロアチアは、守備的MFブロゾビッチに代わりFWクラマリッチを起用。MFモドリッチとMFラキティッチのダブルボランチとなった。

 相手GKが一歩も動けない程のスーパーゴールで先制点を奪ったのはロシアだった。前半31分、FWジュバからのリターンパスを受けたMFチェリシェフがペナルティーエリア外から得意の左足一閃(いっせん)。美しい弾道のシュートはゴール左上に突き刺さった。今大会4点目でポルトガルFWロナウドとベルギー代表FWルカクに並び得点ランキング2位タイ(1位はイングランド代表FWケーンの6点)に浮上。サポーターの大歓声が響き渡った。

 1点を追うクロアチアは失点後、ファウルが増えてロブレンとストリニッチのDF2人にイエローカードが出る嫌な流れだったが、39分にFWマンジュキッチのクロスに頭で合わせたFWクラマリッチが今大会初ゴールを挙げて、前半の内に同点に追いついた。

 クロアチアが後半最初の決定機を作る。15分にペナルティーエリア内でこぼれ球を拾ったペリシッチが利き足とは逆の右足でシュート。ボールは左ポストの内側に当たって惜しくも得点にならなかった。

 ロシアは後半27分に右クロスを途中出場のMFエロヒンがフリーでヘディングシュートを放つも、枠内に打てずチャンスを逸した。

 後半44分にアクシデントが発生する。クロアチアGKスバシッチが接触のない所でボールを処理した時に、右足のハムストリングを負傷。交代枠3枚を使って代えられないため出続けることに。同49分に強烈なシュートを打たれたが何とかはじき返し、5分のロスタイムを守り抜いた。

 後半はスコアが動かず1-1で終了。延長戦に突入した。

 負傷したかに見えたクロアチアGKスバシッチは延長戦もプレーを続行したが、延長前半4分に右サイドバックのブルサリコが左膝を負傷。自ら交代を志願してDFチョルルカを投入して結局、早い段階で最後の交代枠を使うハメになった。だが、同11分に念願の勝ち越し点を奪う。疲労困憊(こんぱい)の選手が多い中、右CKを獲得。DFビダがヘディングシュートを放ち、チョルルカの前を通過してゴールに吸い込まれた。最初はチョルルカの得点と発表されたが、すぐにビダのゴールに変更された。

 決定的な1点と思われたが、試合はまだ終わらなかった。ロシアは延長後半10分にペナルティーエリア付近の右でFKを獲得。キッカーを務めたMFジャゴエフが絶妙なクロスを送ると、DFフェルナンデスが頭で合わせて同点。ふたたび振り出しに戻した。

 延長戦でも両チームが1点ずつ奪い、2-2で終えた。ともに決勝トーナメント1回戦に続き、またしてもPK戦での決着となった。

 ロシアの先行でスタート。ロシアは1人目のスモロフと3人目のフェルナンデスが外した。一方のクロアチアは2人目のMFコバチッチが止められたが、4人目までに3人が成功。3-3で迎えた5人目のラキティッチが相手GKの逆を突き、2試合連続のPK戦を制して5大会ぶりの準決勝進出。初の決勝進出をかけてイングランドと対戦する。

 「史上最弱の開催国」と言われたロシアは、66年イングランド大会以来となる準決勝進出を逃した。ベスト8で今大会から姿を消すことになるが、1次リーグでは2連勝で突破を決め、決勝トーナメント1回戦では優勝候補スペインをPK戦の末に下す大金星を挙げるなど、大方の予想を覆した。