初か、52年ぶりか-。クロアチアとイングランドの準決勝は11日(日本時間12日3時)に開始される。両監督ともに若手育成に携わり、教え子を率いて世界一に近づくための大一番。クロアチアのズラトコ・ダリッチ監督(51)は、中東で腕を磨いた経歴の持ち主で、98年大会を超える初の決勝進出に挑む。イングランドのガレス・サウスゲート監督(47)は自国にとどまり強化を続け、優勝した66年大会以来の決勝を狙う。

 サウスゲート監督は13年からU-21代表を率い、不祥事で解任されたアラダイス前監督の後を受け、16年9月にA代表暫定監督に、同12月に正式就任した。年代別代表で若手を育て、A代表の緊急事態に抜てきされた点で、クロアチアのダリッチ監督と共通する。ケーンらU-21代表での教え子を重用し、90年以来の4強入りを決め、米紙ニューヨーク・タイムズに「現代の選手を指導するのに最適な監督」と評された。

 国内の人気も急騰中だ。イングランド代表にスーツを供給するマークス&スペンサーではベストの売り上げが急増している。同監督がベスト姿で指揮する影響だ。

 また、コロンビアにPK戦で勝った日には音楽配信サービスで「スリー・ライオンズ」という曲が45万回配信された。96年欧州選手権のテーマソングで、「サッカーが母国に帰ってくる」という意味のコーラスが特徴的。優勝した66年ワールドカップ(W杯)同様に自国開催だった同大会での優勝を願った曲だった。ところがその準決勝のPK戦で失敗し、チームを敗退に追い込んだのが、現役時代のサウスゲート監督だったのだ。

 当時の“戦犯”が今やヒーロー、数日後に同曲は22年ぶりにヒットチャートに返り咲いた。国民は優勝トロフィーを持ち帰ることを同監督に託している。