今シーズン2度目のクラシコが、レアル・マドリードのホームスタジアム、サンティアゴ・ベルナベウで3月1日に開催された。永遠のライバル、バルセロナをホームに迎えたRマドリードが2-0で勝利を収めたこの試合は、次世代のスターが生まれた一戦となった。
カタルーニャ独立運動の影響で12月18日に延期された今シーズン前半戦のカンプ・ノウでのクラシコは、スコアレスドローに終わっている。
公式戦でのクラシコは今回の対戦前までに243試合が行われ、Rマドリード95勝、バルセロナ96勝、引き分け52回という結果であった。コリンチャンスとフラメンゴ(ブラジル)、ユベントスとインテルミラノ(イタリア)、マンチェスター・ユネイテッドとリバプール(イングランド)など、世界にはさまざまなライバル関係が存在しているが、こんなにも互角の争いを繰り広げている対戦カードは他に例を見ない。
そして今回のクラシコ前のリーグ成績は、バルセロナは勝ち点55で首位、Rマドリードは勝ち点53で2位という拮抗(きっこう)した状況だったため、勝ち点を引き離したいバルセロナと、首位奪回に燃えるRマドリードの一戦は、勝敗が優勝に大きな影響を与えるものになっていた。
連日春のような快晴が続いたマドリードの天候が一変し、この日はキックオフ前から雨が降りだし、強風吹きすさぶ荒れた天候となった。気温も急激に下がる中、数時間前からスタジアム周辺には寒さをものともしない熱を帯びたサポーターたちが大挙し、大一番の開催を待ちわびる。
バルセロナは敵地サポーターのヒートアップを懸念し、クラブバスの使用を避け、普通のバスでカムフラージュし会場入りするという異例の措置をとった。それほどまでにクラシコは両クラブ、選手、サポーター、街までも巻き込む一戦なのだとあらためて思わせる。
試合開始後、前半はバルセロナがより多くのチャンスを作るもスコアレスドローで終了。後半に入るとRマドリードが主導権を握り、19歳のビニシウスが膠着(こうちゃく)状態の均衡を破った。世界中が注目するこの大一番で若きブラジル人FWが覚醒した瞬間、スタジアム中が叫び、歓喜に沸いた。
昨シーズン、Rマドリードに4500万ユーロ(約54億円)で入団したビニシウスは、類いまれな突破力を備える一方、決定力不足が問題視されており、シュートを打つたびにサンティアゴ・ベルナベウのサポーターにため息をつかせ、失笑される不遇の時もあった。
しかしこの日の彼は違った。ここ最近は好調を維持し、この日はエースであるベンゼマとともにチームの攻撃をリードし、後半26分にクロースのスルーパスに素早く反応し先制点を記録したのである。
19歳230日でのゴールは、リーグ戦のクラシコ史上における外国人最年少得点となった。これまでメッシが持っていた19歳259日の記録を抜き、Rマドリードとバルセロナの歴史ある対戦で新たな歴史を築き上げたのだ。
ビニシウスは試合後、待望の瞬間が訪れたことについて、「マドリディスタとして最高の夜になった。常に真摯(しんし)な姿勢で取り組んできたから、この瞬間がいつか訪れることを分かっていた」と、自分が大舞台で主役になる日が来ることを信じていたことを語った。
また、ジダン監督は試合後、「ビニシウスはあのような重要なゴールを決めるに値した」「重要な試合で重要なゴールを決めてくれた。今日の出来は素晴らしかった。攻撃面はもちろんのこと、守備でもマルセロを助け、すごい仕事をやり遂げてくれた。彼のことが誇らしい」と、その働きぶりを絶賛した。
Rマドリードはアザールを直前で欠きながらもビニシウスの活躍により、重要な一戦を制した。キャプテンのセルヒオラモスが「クラシコでの勝ち点3は、他の試合の勝ち点以上の価値がある」と語るように重みのある3ポイントを追加した。
しかしリーグ戦はまだ12節が残されている。直接対決の結果で上回り、勝ち点でリードするというアドバンテージを手にしたものの、3シーズンぶり、34度目のリーグ制覇に向け、バルセロナとの激しい戦いは最後まで続くことになるはずだ。
ここ一番の大舞台で覚醒したビニシウスの活躍が、シーズン終わりまで継続することが、Rマドリードの優勝の鍵となるのかもしれない。【高橋智行】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)


