スペイン代表はワールドカップ(W杯)欧州予選E組を6試合5勝1分け、21得点2失点の勝ち点16という好成績で勝ち抜き、13大会連続、通算17回目の本大会出場を決定した。
■W杯予選ホームで64戦負けなし
スペインが無傷で予選を突破したことで、18年から21年にイタリアが樹立した公式戦連続無敗の世界記録31試合に並んだ。デラフエンテ監督率いるチームが公式戦で最後に敗れたのは23年3月のスコットランド戦だ。
それ以降25勝6分け、83得点25失点という圧倒的な強さを示し、22-23年シーズンの欧州ネーションズリーグと24年の欧州選手権で優勝、24-25年シーズンの欧州ネーションズリーグで準優勝。そして今年10月に、14年6月以来11年ぶりにFIFAランキング首位に返り咲いた。
さらにスペインは、ホームで行われたW杯予選で一度も負けたことがない、世界で唯一の代表チームとなっている(64試合無敗)。
12月5日(日本時間6日)に1次リーグの組み合わせ抽選会が開催されるとあり、スペイン国内も徐々にW杯モードが高まっている。
■昨年の欧州選手兼Vメンバー中心
選手選考が話題に上り始める中、昨年の欧州選手権優勝メンバーがメーンとなることが予想されている。当時の26人の中で完全に外れているのは、ヘスス・ナバス(引退)、ナチョ、ホセルの3人のみ。それ以外の23人の多くが今回も選ばれることになるだろう。
W杯に向けたメンバー26人の内訳は、GK3人、DF8人、MFとFW15人になる可能性が高い。
そのうちGKは現在、W杯予選全6試合に出場してわずか2失点、5試合でクリーンシートを達成したレギュラーのウナイ・シモン(ビルバオ)を筆頭に、ラヤ(アーセナル)、レミーロ(レアル・ソシエダード)で固定されている。これに割って入る可能性があるのはジョアン・ガルシア(バルセロナ)くらいだろう。ここ1年呼ばれていないロベルト・サンチェス(チェルシー)はチャンスがなさそうだ。
右サイドバックはペドロ・ポロ(トットナム)のメンバー入りが決定的で、残り一枠はここ2シーズンけがが続くカルバハル(Rマドリード)のコンディション次第。万全の状態に戻ることができれば当然選ばれるだろうが、状況次第でその代役として最近抜擢されているジョレンテ(Aマドリード)が逆転でメンバー入りする可能性も十分ある。
左サイドバックはククレジャ(チェルシー)が絶対的な選手となっている。グリマルド(レバークーゼン)はバックアップとして入る可能性が高いが、所属クラブで好プレーを見せるカレーラス(Rマドリード)が対抗馬になるかもしれない。バルデ(バルセロナ)は2年以上デラフエンテ監督から声がかかっていないことから、厳しい状況にある。
■たび重なるケガでロドリ稼働できず
センターバックは、ル・ノルマン(Aマドリード)、ハイセン(Rマドリード)、クバルシ(バルセロナ)、ラポルテ(ビルバオ)が最有力。この4人のコンディションやパフォーマンス次第で、ビビアン(ビルバオ)、エリック・ガルシア(バルセロナ)、パウ・トーレス(アストン・ビラ)らにもチャンスはあるだろう。
W杯予選をボール支配率65%、パス成功率92%で終えたスペインのパスサッカーを支えるMFでは、ロドリ(マンチェスター・シティー)、ペドリ(バルセロナ)、ファビアン・ルイス(パリ・サンジェルマン)、スビメンディ(アーセナル)、ミケル・メリーノ(アーセナル)、ダニ・オルモ(バルセロナ)の6人が決定的だ。
しかし、中盤の大黒柱となるべき存在のロドリは、たび重なるけがで昨季以降あまり稼働できておらず、代表ではこの1年間、わずか2試合に途中出場したのみ。その間にスビメンディが急成長を遂げており、カルバハル同様コンディションが大いに懸念されている。
スビメンディとともに、短期間で存在感を高めた選手と言えば、ミケル・メリーノだろう。中盤の選手でありながら、W杯予選でエースのオヤルサバルと並んでチームトップの6ゴールを決めており、フィジカル面の問題で欠場が続いたファビアン・ルイスからレギュラーの座を奪いつつある。
残り少ない中盤の枠は、アレイシュ・ガルシア(レバークーゼン)、バリオス(Aマドリード)、フォルナルス(ベティス)、フェルミン・ロペス(バルセロナ)、負傷中のガビ(バルセロナ)やイスコ(ベティス)といった選手たちが争うことになりそうだ。
■ヤマル&ニコはデラフエンテの武器
センターフォワードに関しては、直近の代表9試合で9得点6アシスト(W杯予選6得点3アシスト)と圧倒的な存在感を誇るオヤルサバル、前線のさまざまなポジションでプレーできるフェラン・トーレス(バルセロナ)のメンバー入りは間違いないだろう。
その他、デラフエンテ監督の希望するタイプ次第となるが、大柄のサム・オモロディオン(ポルト)やボルハ・イグレシアス(セルタ)、ベテランのアジョセ(ビリャレアル)にチャンスがあると予想される。
長年に渡り不動の地位にあったモラタ(コモ)は所属クラブで無得点が続き、10月から代表メンバーから外れている。セリエAでのパフォーマンスがこのまま改善されない場合、10年以上続いた代表でのキャリアに終わりを迎えることになるかもしれない。
ウイングでは、デラフエンテサッカーの大きな武器であるヤマル(バルセロナ)とニコ・ウィリアムズ(ビルバオ)が最近ずっとフィジカル面の問題に苦しめられていたが、メンバー入りは間違いない。ジェレミ・ピノ(クリスタル・パレス)とバエナ(Aマドリード)も当確ラインにはいる。その他、ヘスス・ロドリゲス(コモ)やデ・フルートス(ラヨ・バリェカノ)にもチャンスが訪れる可能性がある。
ほとんどのポジションで大きな変化がないと思われるが、デラフエンテ監督は所属クラブで活躍する選手を即座にテストする傾向にある。そのため、W杯開幕までの半年間で何らかのサプライズがあるかもしれない。
■アス紙アンケートではカルバハル人気
では、スペイン国内での代表チームに関する一般の声はどうだろうか。W杯の出場権を獲得した後、アス紙が実施した「W杯に臨むべきスペイン代表26人」のアンケート結果は以下のようになっている(約4万人が回答)。
GKはウナイ・シモンとラヤが支持されている一方、第3GKはレミーロよりもジョアン・ガルシアを推す声が多い。
右サイドバックではカルバハルの人気が最も高く、ペドロ・ポロとジョレンテが同票で2番手。左サイドバックではククレジャが圧倒的な支持を集め、カレーラス、グリマルド、バルデが続く。センターバックではハイセンがトップ。これにクバルシ、ラポルテ、ル・ノルマン、ビビアン、エリック・ガルシアが続いている。
MFはペドリ、ミケル・メリーノ、ファビアン・ルイス、ロドリ、スビメンディの5人が支持されており、その後にダニ・オルモ、フェルミン・ロペス、イスコ、バリオス、ガビがいる。
センターフォワードではオヤルサバルがダントツの人気を誇る。2番手はサム・オモロディオン。3番手はほぼ同票で、アジョセ、ボルハ・イグレシアス、ジェレール・モレノ(ビリャレアル)が並んでいる。その後に今夏のクラブワールドカップ得点王のゴンサロ(Rマドリード)の名前が出ている。
ウイングではニコ・ウイリアムズがトップ、ヤマルが2番手。これにバエナ、フェラン・トーレス、ジェレミ・ピノが続いていた。
W杯で優勝候補の一角に上がるのは間違いないデラフエンテ監督のメンバーはほぼ固まっていると思われるが、正式発表まで半年ほど残されている。そのため、これまで一度も招集されたことがない選手が選出される可能性は十分にあるだろう。
いずれにしても、まずは来年3月にカタールで開催予定のフィナリッシマ(欧州選手権と南米選手権の王者対決)でのアルゼンチン戦に向けたメンバー編成を見る必要がある。この試合はタイトルに加え、イタリアを抜いて単独での公式戦連続無敗の世界記録樹立が懸かる重要な、見応えのあるものになることが予想される。
【高橋智行】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)





