ロナルドだけじゃない! Rマドリード(スペイン)のFWカリム・ベンゼマ(28)が、鮮やかな先制ゴールを決めた。前半ロスタイムに右足アウトサイドでネットを揺らし、“打率”の低かったロナルドを尻目に銀河系軍団の来日1号をたたき込んだ。昨年12月に問題行動でフランス代表を追放された男が、強烈な一撃で世界一に王手をかけた。

 ベンゼマが来日1号を突き刺した。前半ロスタイム。FWクロースからのスルーパスにゴール前左で抜け出した。ほぼ真後ろから来たパスに一瞬、目線を切ってから、右足アウトサイドにかけた。難度の高いシュートが、GKの手をはじきゴール右上に決まった。

 「長旅などで厳しかったが、良い試合だった」。後半35分にFWモラタと交代するまで、銀河系軍団の3トップの一角として存在感を示した。試合後は多くは語らなかったが、満足そうな表情がベンゼマの気持ちを物語っていた。

 モロッコ開催だった14年の初戦も決勝ゴールを決め、クラブW杯初優勝を支えた。しかし、1年前はどん底に落ちた。フランス代表の同僚に対しセックステープを元に恐喝した事件に関与した疑いで当局に逮捕され、フランスサッカー連盟からは代表追放の制裁を受けていた。

 それでも実力は本物。長身ながら足元の技術が高く、幅広いプレーでチームに貢献する。Rマドリードではかつてロナウドやモリエンテスも背負い、「世界でも最も重い」とされる背番号9を受け継いでいることが、その証しだ。比較され続けたイグアイン(現ユベントス)にも競り勝ち、新進気鋭のスペイン代表モラタが今夏復帰してもポジションは奪われてはいない。

 「2、3試合で良いプレーができなかったけど、自信はある」。一時は下降気配だったが、今月7日のチャンピオンズリーグのドルトムント戦では2得点を含む3試合連続ゴールをマークし、復調。クラブW杯での活躍にもつなげた。

 試合前の朝には「こんにちは 横浜市!」と日本語でツイートするなど、来日を楽しんでいる様子だった。ロナルドばかりが注目される銀河系軍団でベンゼマが完全復調し、その輝度はさらに高まった。【成田光季】

 ◆カリム・ベンゼマ 1987年12月19日、フランス生まれ。96年にリヨンの下部組織に入団。05年にトップチームでデビュー。リーグ6連覇に主力として貢献。07-08年にはリーグ得点王に輝く。09年にRマドリードに完全移籍。移籍金は3500万ユーロ(当時約47億円)だった。加入後、欧州CLは2度制覇。フランス代表としてW杯ブラジル大会などに出場。187センチ、79キロ。