突然のドイツ代表追放に、バイエルン・ミュンヘンのドイツ代表FWトーマス・ミュラー(29)が怒りの声をあげたと、6日付の独紙ビルトが報じた。

ドイツ代表は優勝候補として臨んだ18年W杯ロシア大会でまさかの1次リーグ敗退となった。その後もオランダとフランス同組となった欧州ネーションズリーグで最下位となり降格するなど、18年はドイツサッカーにとって最悪の年となってしまった。

この現状を踏まえてドイツ代表のヨアヒム・レーウ監督は、抜本的なチーム改革に着手するために5日、若手中心の選手選考をすることを発表した。さらに今後はミュラーとDFフンメルス(30)、DFボアテング(30)の、ベテランにさしかかるBミュンヘン3人を代表に招集しないことも発表。代表チームのマネジャーを務めるオリバー・ビアホフ氏は「再出発に向けて、選手選考から明らかな決意が見られるようにしたい」と世代交代を明かした。

問題となったのはこの発表が監督から選手に伝えるより早く、ドイツ・サッカー協会の会長が公に発表してしまったことだという。レーウ監督は3選手に今回の経緯を説明すると話していたが、実際はプレスリリースが先に発表。さらに3選手とはわずか5分しか話をしていないという。

まず最初に反応したのがミュラーだった。自身のインスタグラムに5日、突然の代表追放に「1日中、じっくり考えてみて、改めて今回の進展に怒りを覚えている。僕もジェローム(ボアテング)もマッツ(フンメルス)もまだトップレベルでサッカーができるのに、今回の決断は理解できない」と怒り心頭。「レーウ監督から話を聞く前に、すでにドイツ・サッカー協会の会長から声明が発表されたというのはいいやり方ではないし、僕らに対する評価としても、あってはならないことだ」と不信感を募らせた。

Bミュンヘンもこうした対応に憤りを感じ、声明を発表した。基本的に代表監督の選考について口出しをしないようにしていると前置きしたうえで「発表のタイミングとやり方に疑問の余地が残る。9日にウォルフスブルク戦、そして13日にはリバープールとのCL第2戦があるという非常に大事な時期に伝えられては混乱してしまう」と、発表の時期に問題があると主張。さらに「レーウ監督とビアホフ氏が何のアポもなしに訪問してきたことにも驚かされた」と批判的な見解を示した。

ビルト紙はフンメルスとボアテングもミュラーに続き、何らかの声明を出してくるのではないかと報じた。若返りを図る必要性は間違いなくあったとはいえ、14年W杯優勝メンバーの主力としてこれまで代表の屋台骨を支えてきた功労者だけに、もっと他のやり方があったのではないだろうか。【中野吉之伴通信員】