日本代表から約10カ月遠ざかるDF高井幸大(21=ボルシアMG)がドイツで奮闘している。このほど、現地で取材に応じ、イングランドでの「空白の半年間」について思いを語った。【取材・構成=佐藤成】
「いつこっちに来たんですか?」。席に着くなり、高井の方から聞いてきた。日本にいる頃、報道陣に対して全く興味を示さなかった男から発せられた言葉にやや驚きつつ、経緯を説明すると、「ああ」と軽くうなずいた。
まだ21歳の青年。昨夏、川崎フロンターレから単身で海を渡り、9カ月が経過した。大きな期待を背負って移籍したイングランド、プレミアリーグの名門トットナムではキャンプ中に右足の足底腱膜を痛めて出遅れた。治りにくい箇所で、なかなか復帰できず、それ以降、高井の情報は日本になかなか届かなくなった。
「ちょっとアンラッキーな感じでケガをして、想像より時間かかって復帰して。復帰した後も、今まであまりケガをしたことがなかったので、コンディションの上げ方もわからなかったし、ハイレベルの練習だったので、正直まあ大変な半年ではあったかなと。なかなか自分の思うようにいかないし、難しい半年だったかなと思いますね」
トットナムには日本人選手が1人だけ。英語が堪能なわけではなく、ましてや医療用語となればより難しい。「日本語でも、英語でもなんていうか知らない足底の筋肉を痛めて、今は大丈夫なんですけど、結構ずっと違和感ありながらやってた感じです。日本語をしゃべる方がいなかったし、こうやってみんなやってるんだろうなって改めてヨーロッパにいる選手たちへのリスペクトはこっちにきて非常に感じるところはありますね」と振り返る。
その後、昨秋には右の大腿(だいたい)四頭筋を負傷。「もも前をやってしまって、それもたぶん足底をかばっていたこともあるかなと。踏んだり蹴ったりでしたね」。
幼少期からのサッカー人生でここまでプレーできなかったことはなかった。高3でトップに帯同している時も、ユースで試合には出ていた。プロ1年目から出番をつかみ、順風満帆に成長を遂げてきた。これほど実戦から離れた経験は初めてだった。当時の心境をこう振り返る。
「サッカーをやらないと暇やなって。単純にね。単純にサッカー選手は試合に出てなんぼだなって思いましたね」
欧州に行き、9カ月。簡単な日々ではない。サッカー選手としてプレーできない苦しみを味わった。「しんどいとは思ったことないかな。まあでも2回目のケガした時(大腿四頭筋)は、『なんでやろうな、本当になんでケガするんやろ』とは思いました。マジでケガしたことなかったので」と吐露した。
監督とは常にコミュニケーションを取っていた。自分の考えを伝えていたし、向こうの思いも受け取っていた。「まあ期待はあったけど、信頼はそこまでなかったかなと思う。そこはやっぱ試合に出て誰しもが信頼をつかむものだと思うし、そこまではいかなかった半年というのが自分の評価ですね」。
各国の代表級がひしめくリーグ。ワールドクラスのチームメートたちとの練習は刺激的だった。「もちろんクオリティーは高かったですし、一緒に練習してめっちゃ楽しかったですね。選手のクオリティーのところも強度高かったです。うまく言語化できないですけど、速さのとこは非常に感じたかな。速さはすごく感じてプレーしていました」。
12月28日のクリスタルパレス戦では初のベンチ入りも果たした。世界を相手に決して何も通用しないというような状況ではなかった。「だいぶ体がフィットしてきて、まあ悪くないかなと自分で思ってる時だった。1試合でしたけど、良い経験でした」とかみしめた。

