【モンテレイ(メキシコ)20日(日本時間21日)】日本(FIFAランキング18位)のエースFW上田綺世(27=フェイエノールト)が、W杯で日本人初となる1試合2得点を決めてアジア勢最多の計4発を呼び込んだ。自身の初得点を含む2ゴール1アシストで大会初勝利に貢献。前半31分に代表17点目で初のミドル弾を股抜きで打ち込むと、後半38分には右クロスを頭で押し込んで2点目。4年前の借りを返す活躍で、W杯通算1000試合目のメモリアルマッチを飾った。
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夢の舞台で、宣言通りの“綺世キャノン”をぶち込んだ。1-0の前半31分、ゴール右斜め45度でDF板倉から縦パスを受けてターンすると、DFの動きを見極めながら運ぶ。最後は、右足で股下を射抜いてゴール左隅へ。前日に「狙っていきたい」と話していた、代表では1度もなかったペナルティーエリア外からのミドル弾。待望のW杯初ゴールに「率直にうれしい。今まで決めてきたゴールとは、喜びも達成感も、自分が背負っているものも含めて、全く違う感覚」との言葉で充実感をかみしめた。
解説の本田圭佑を「股抜きでサイドネットは神」と興奮させても、ストライカーは満足しない。後半24分にはワンタッチでパスを流してMF伊東のゴールをアシストし、終盤にはMF佐野の右クロスに、体幹の強さを凝縮した長距離弾道のヘッドを沈めた。W杯で日本人初の1試合2得点。「チームに必要な点を取る。それがFWの本質」と言う男が新たな時代を刻んだ。
4年前は失意に暮れていた。カタール大会16強でチームが泣いた中、自身はコスタリカとの第2戦に先発して無得点。前半45分だけの出番に終わった。「悔しがる権利もない感覚。悔しいという感覚も、よく理解できないようなレベルにあった」と唇をかんでいた。
雪辱を胸に、今季のオランダ1部で25ゴールを挙げて得点王に輝いた。満たされなかった。「どれだけ周りから『いい結果だった』と言われても…4年前に感じた悔しさは同じ場所でしか拭えない」。進化を示すには得点しかなかった。「当時と比べると立場も違うし、選手としてのクオリティーも価値も全く違うものになっている。4年間は充実していたと思う」。歩んできた道のりを誇示した。
昨年10月には、代表の背番号を点取り屋の代名詞である「9」から「18」に変更した。元ドイツ代表FWクリンスマン好きの父晃さんがつけていた番号で、自身には“エースナンバー”だ。「この番号で日本を背負うことが、僕には本当に特別な意味がある。この18番をつけて出るからには存在を証明しないと」。ゴール後、悠然と背中の「18」をアピールした男が日本の最前線に立ち、世界ランク18位から「最高の景色」まで連れて行く。【永田淳】
◆上田綺世(うえだ・あやせ) 1998年(平10)8月28日生まれ。茨城県水戸市出身。中学時代は鹿島アントラーズノルテ所属。鹿島学園-法大。19年に法大を退部し、内定していた鹿島へ前倒し加入。22年夏にベルギー1部セルクル・ブリュージュ、23年夏にフェイエノールトへ移籍。19年5月に日本代表に初招集され、国際Aマッチ41試合18得点。21年東京五輪、22年W杯カタール大会に出場。家族はモデルの由布菜月(28)と1女。182センチ、76キロ。


