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ソチ五輪のRSS

「悲しい火」が灯るアルメニアの古都

 浅田真央を追ってカフカス地方のアルメニア共和国の首都エレバンに来ている。盛り上がるソチから飛行機で1時間半。そこは紀元前8世紀にできた、世界で最も古い町の1つだ。祭典の足音も聞こえない、聞こえるのは土煙を上げる車の渋滞の音だけ…、と感じたので、タクシー運転手のエドワードさんに訪ねた。

 「ソチ、知ってるよ。4人出ているけど、メダルを取れそうな選手なんていないよ。でも、順位はいいんだ。アルメニアの旗が振られたことで満足だよ」

 すでに競技を終えたノルディックスキー男子複合の選手は46位と63位。そんな話をしながらエドワードさんが遠くを指さしながら言った。「あれが虐殺犠牲者の記念碑だよ」。

 浅田が練習する会場と同じ丘の上に、モニュメントがある。1915年にトルコ東部で150万人以上のアルメニア人が殺されたといわれる悲劇。それを追悼し、いまでも献花と火が燃える。

 アルメニア人の歴史は紀元前にさかのぼりながら、他民族の侵略を受け続けてきた。特に19世紀以降の虐殺は過酷で、同胞は世界中に散り散りに。国としてソ連から独立したのは91年。いまでも故国を他国で思い返す同胞は多い。だからこそ、五輪で旗が振られることに誇り、喜びがある。

 ソチの聖火に比べ、とても小さな記念碑の火を見ながら、五輪にはそんな意味もあるのだと身に染みた。【阿部健吾】




日本のメダル数

金メダル
1
銀メダル
4
銅メダル
3

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