フィギュアスケート会場にロシア選手が登場すると、太鼓の音が響く。ロシアの文字をあしらった服を着たおじさんが太鼓腹に太鼓をのせて、大ハッスル。まるでサッカー場のような応援を巻き起こしている。

　周囲の観客に手拍子を促して「ロシア」コールを先導。ライバル国の選手が登場すれば「ロシア」コールで、プレッシャーをかけている。逆に自国のヒーローとヒロインの演技直前は口の前で人さし指を立てて「シー！　シー！」と周囲を黙らせる。ただその声が大きすぎるという欠点も…。憎めない存在ではあるけれど、まあやっていることはマナー違反でしょう。

　１３日の男子ショートプログラム（ＳＰ）。プルシェンコの６分間練習ではテンションもＭＡＸになった。力の限り太鼓をたたいていた。だが直後に「ロシアの皇帝」は腰痛のために棄権。太鼓おじさんは座り込んで、ぼうぜんと頭を抱えていた。

　プルシェンコの棄権とともに、席を立つ観客が増えて、最後は客席の半分近くが空席になり、太鼓おじさんもいなくなった。まあリプニツカヤが出場する女子シングルではまた太鼓の音が響くでしょう。【益田一弘】