陸上男子100メートルで日本歴代2位の10秒01を持つ桐生祥秀(19=東洋大)の、世界選手権(8月、北京)出場が事実上、消滅した。東洋大は3日、桐生が右太もも裏の肉離れで13日のダイヤモンドリーグ・ニューヨーク大会を欠場することを発表。練習再開まで6週間は、単純計算すれば7月12日。日本選手権(26日開幕、新潟)欠場も決定的だ。

 所属の土江コーチによると、桐生は5月30日の練習でトップスピードで走っている最中に負傷。6月1日に検査を受けた。土江コーチは「6週間は練習再開の目安で、すぐにレースで走れるわけではない。復帰レースは全くの未定です」。

 これに伴い、今年最大の目標だった世界選手権もアウトになる。日本陸連は3月11日に発表した代表の「選考要項」で「日本選手権に出場した競技者の中から」と明記。日本選手権欠場の場合、個人種目もリレー種目も選ばれない。仮に順位を度外視してスタートからゴールまで100メートルを通過すれば、出場の事実は認められてリレー代表の道は残るが、現実的ではない。

 さらに土江コーチは「回復の状態によるが、8月の終わり(世界選手権)に走れるか、といわれると厳しい」と、見通しを示した。右太もも裏は、昨年4月の織田記念国際(広島)でも違和感を覚えて決勝を棄権している。万全を期すならば、復帰レースは秋以降にずれ込む可能性もある。3月に追い風参考記録ながら、衝撃の9秒87をたたき出した「ジェット桐生」が再び試練に見舞われた。