【3区】前橋市公田町→伊勢崎市役所(13.6キロ)

区間記録保持者:宮脇千博(トヨタ自動車)

37分52秒(12年区間賞)

現在26歳。トヨタ自動車所属

 

 長さとしては4番目の区間だが、チーム一番のスピードランナーが起用されることが多い。高低差約30メートルを均一に下るコースで、風も吹くとすれば追い風か横風になることが多い。3キロ地点の東善交差点を右折して南下する約3キロが、最も追い風が強くなる。

 区間記録を持つ宮脇千博は「本当にスピード感のある区間」と話す。これまで1区と3区を各2回、3区と5区と7区を各1回走って区間5位以下のない“失敗しない男”宮脇。「3区は自分が速く走れているときはぐんぐん行けて、何人も抜くことができます。逆に良くないときは、どんどん置いて行かれる。4区と5区は前半の動きが悪くても、じっくり走れば後半で取り返すこともできました。しかし3区は、最初からガンガン行くしか方法はありません。自分が良いときは楽しいのですが、良くないときは本当にキツく感じる区間ですね」と話す。

 12年大会の宮脇は10キロを27分20秒強と、1万メートルの日本記録を上回るタイムで通過。トヨタ自動車の先輩の高林祐介が前年に出した38分02秒の区間記録を10秒更新した。

 レース展開的には11秒前にトップで中継所を出た宇賀地強(コニカミノルタ)に、「6~7キロくらい」(宮脇)で追いついた。「他の選手の後ろについて休んでいるような区間ではありません」と、並走してどちらも譲らなかった。

 だが、最初からずっとハイペースで走り続けるため「最後の2~3キロはかなりキツくなった」という。宮脇は10キロ以降で宇賀地に引き離され、4区への中継所では5秒の先着を許した。「区間記録では勝ちましたが、駅伝では負けた感じがありました」と当時を思い出し、悔しさをにじませた。

 2区と並んでごぼう抜きが見られる区間でもある。前回は大石港与(トヨタ自動車)が23位でタスキを受け、20人抜きを演じて3位にまで上がった。宮脇の区間記録に5秒と迫る37分57秒(区間歴代2位)で走破した。

 3区を37分台で走っているのは12年の宮脇と宇賀地、前回の大石、そして2年前の上野裕一郎(DeNA)の4人。いずれ劣らぬスピードスターたちだ。1万メートル27分台の力を持ち、トラックより速いペースで入っても後半まで押し切ることができる選手だけが、この区間で37分台を出すことができる。さて今回は5人目の37分ランナーが誕生するだろうか。