ボストンマラソンを日本勢では31年ぶりに優勝した川内優輝(31=埼玉県庁)が19日、米国から成田空港着の航空機で帰国し、来年4月から公務員をやめて、プロ転身することを明かした。

 サプライズ発表をしたのは、優勝賞金15万ドル(約1650万円)の使い道を聞かれた時だった。「来年の4月から公務員を辞めて、プロランナーに転向しようと思っている。その資金にしようと思っています」と話した。勤務する埼玉・久喜高は本年度で創立100年で、川内は記念誌の副編集長を務めている。その仕事を終え、マラソンに集中する道を選んだ。

 「ロンドン世界陸上で公務員の仕事と両立しながら、やれることはすべてやったつもりだったのですが、あと1歩で入賞に届かなかった。自己ベストも5年間更新していない。環境を変えないといけない」。

 東京五輪に出場するかは決めていないが、世界で勝負したい気持ちは変わらない。公務を気にせず、海外遠征などマラソンに専念する選択に至った。

 また弟鮮輝(27)の存在も気持ちを後押しした。16年3月に勤務していた会社を退職し、プロランナーへ転向。その弟は昨年12月の福岡国際で自己ベストを4分以上縮めた。「弟のように人生をかけないといけない」と心に響いた。

 「最強の公務員ランナー」などと親しまれた31歳。来春からはその肩書を捨てて、プロランナーの道を歩む。