10秒の壁は破っても、世界の壁は依然として分厚かった。昨年9月に日本人初の100メートル9秒台を出した桐生祥秀(22=日本生命)は向かい風0・5メートルの条件下、10秒26の9位だった。

 タイムも低調、順位は最下位。それでも表情は明るかった。「順位は最下位だが得られるものがあった、今の自分の走りがどんなものか。そんなに悪くない」と話した。

 昨夏の世界選手権男子100メートル王者ジャスティン・ガトリン(米国)、同200メートル覇者のラミル・グリエフ(トルコ)、16年リオ五輪男子100メートル銅のアンドレ・ドグラス(カナダ)ら世界の強豪との対決。好スタートを決めるも、中盤から置き去りにされた。それでも先行されて力む悪癖は出なかったという。「このメンバーで最後まで自分の走りができたのはよかった」と強調した。

 ピークは日本選手権(6月)とジャカルタ・アジア大会(8月)に合わせる。まだ100メートルは今季初戦。これからギアを上げていく。