全日本実業団対抗女子駅伝は25日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間(42・195キロ)で行われる。パナソニックは若さを前面に出し、会社の創立100周年の節目に連覇に挑む。

昨年は1区・森田香織(23)2区・渡辺菜々美(19)3区・堀優花(22)が3連続区間賞で独走態勢に持ち込んだ。その区間賞トリオが今季も好調だ。エース区間を制した堀はアジア大会日本代表にまで成長。1万メートルで7位入賞を果たした。本人は「日本選手権3位で運良く選ばれた代表ですし、1万メートルの自己記録も更新できていません」と、今季の成績に不満顔だが、練習のタイム設定は確実に上がっている。安養寺俊隆監督も「力強さが出てきた」とエースへの信頼は厚い。

成長度合いでは入社2年目の渡辺が大きい。シーズン前半の故障から回復すると、5000メートルで日本選手権6位、国体4位と日本トップレベルに躍進した。国体では区間賞トリオ全員が入賞したが、最年少の渡辺がチームトップだった。「大きな試合でも動じないタイプ」と安養寺監督。ラストスパートでは分が悪いが、レース中盤で代表選手たちを従えて先頭に立つ積極性が武器だ。

しかし、すべてが順調というわけではない。森田香は日本選手権1万メートルで4位と結果を残したが、得意のラスト勝負に持ち込めず、自身も「メンタルの弱さを痛感している」と課題を挙げた。双子の妹の森田詩織(23)は前回5区で区間4位の好走を見せたが、今回は故障の影響で主要区間出場が厳しい。

区間配置は流動的だが、ハーフマラソンでも今季日本最高を出している森田香が、5区で勝負を決める役割を担う可能性がある。また3区に勢いのある渡辺を抜てきして、単独走に強い堀が5区という配置も考えられる。

パナソニックの前回の優勝は、ユニバーサルエンターテインメントのドーピング違反失格で繰り上がったもの。今年こそ実際にフィニッシュテープを切っての優勝を勝ち取りたいところだ。安養寺監督は「優勝チームのプライドは持ちつつ、昨年以上にのびのび、元気よく走りますよ」と明るく話しながらも「真の優勝を目指します」と固い決意をにじませた。