中央大4年の堀尾謙介(22)が、2時間10分21秒で日本人トップの5位に入った。初マラソンながら粘りの走りを見せ、20年東京五輪の代表選考会「マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権を獲得した。

日本記録保持者の大迫傑は途中棄権。女子は一山麻緒が2時間24分33秒で日本勢トップの7位に入ったが、MGC出場権には届かなかった。このレースを、日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーが振り返った。

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最悪のコンディションだったけど、収穫はあった。中でも堀尾の頑張りは、大きかったね。現役学生がチャレンジして、結果をだした。先頭集団から離れても粘り、ペース配分もできていた。初マラソンで日本人トップは立派。タイムは別にして能力は高いね。

1月に箱根を走った堀尾の快走は、多くの学生に火をつける。続こうとマラソン挑戦に踏み出す学生も増えるよ。以前から「学生のマラソン挑戦」を提唱してきたけれど、なかなか成功する選手はいなかった。堀尾という「モデル」ができたことで、学生たちの意識は確実に変わるはずだ。

女子の一山もいい。終盤遅れたけれど、2時間21分30秒前後の力はある。将来的には20分も切れるよ。東京五輪の先を考えても、若手が五輪選考を経験することは大切。堀尾や一山ら若手の頑張りは、後に続く選手の励みにもなるからね。

本当は10人くらいのMGCキップ獲得を期待していたんだ。雨が降らないように「神様お願い」(テンプターズ)を歌っていたんだけど、かなわなかったね。この条件でタイムは無理。大迫も無理する必要はないし、やめてよかったよ。本番はMGCだから。(日刊スポーツ評論家)