陸上の世界選手権は9月27日~10月6日、カタールのドーハで行われる。

100、200メートル、400メートルリレーの3種目に挑む小池祐貴(24=住友電工)は世界で戦うことに基準を置いている。「目標は100、200でのファイナル。2年に1回の世界選手権、4年に1回の五輪の舞台で、しっかり結果を出せるかどうかが、アスリートとしては価値が大きいと思っている」と話す。


陸上世界選手権に出場する小池祐貴
陸上世界選手権に出場する小池祐貴

タイムには興味を示さない。自分を評価する物差しは、世界の決勝の舞台に立てるのかということだ。7月のダイヤモンドリーグ・ロンドン大会の100メートル決勝(追い風0・5メートル)で日本人3人目となる9秒台となる9秒98をマークした。しかしそのレースも「目標の最低ライン。別に何かを成し遂げたわけではない」と受け止める。そして4位だったことを「実力が足りない」と悔しがる。


2018年アジア大会・男子200メートルを制した小池は日の丸を手に笑顔
2018年アジア大会・男子200メートルを制した小池は日の丸を手に笑顔

16年リオ五輪銅メダルのデグラッセ(カナダ)、同5位のシンビネ(南アフリカ)ら自己記録9秒台が7人と争いは世界選手権の準決勝を想定して挑んだ。その中でデグラッセには先着したもののシンビネ、ブレイク(カナダ)ら3人に先着されたことが許せなかった。世界選手権で決勝に進めるのは準決勝3組の各組2着以内とタイム上位2人。だから、2着以内に入ることはもちろん、タイムで拾われるためにも3着以内に入ることが重要と考えての“仮想・準決勝”だった。小池は「世界選手権の準決勝でもう1段階いい走りをするだけ」と淡々と話す。


2018年アジア大会、男子200メートル決勝で楊俊瀚(後方)に競り勝ち優勝を決めた小池はガッツポーズ
2018年アジア大会、男子200メートル決勝で楊俊瀚(後方)に競り勝ち優勝を決めた小池はガッツポーズ

目標は「自分が手の届くギリギリ」に設定する。ギリギリとはいえ「世界選手権の決勝に上がること」に現実味を感じている。100メートルはもちろん、200メートルでも、その手応えをつかんでいる。ダイヤモンドリーグ・ロンドン大会の200メートル(追い風0・9メートル)では疲労で体が重く、カーブのきつい2レーンを走りながら20秒24。「ここまで出せたのは成長」。コンディションを整え、外レーンならば準決勝でも戦える感触を得ている。

昨年はジャカルタ・アジア大会の200メートルで金メダルを獲得した。初の世界選手権に挑む今年は、世界のトップスプリンターの仲間入りを果たす。


2019年日本選手権・男子200メートル決勝で2位となった小池(中央)。右は優勝したサニブラウン・ハキーム
2019年日本選手権・男子200メートル決勝で2位となった小池(中央)。右は優勝したサニブラウン・ハキーム

◆小池祐貴(こいけ・ゆうき)1995年(平7)5月13日、北海道小樽市生まれ。慶大を卒業後、ANAを経て、住友電工へ。陸上は立命館慶祥高から始める。高3時に高校総体で100メートル、200メートル2位。大学時代はけがに苦しむも、臼井淳一コーチの指導を受けて急成長。今年の日本選手権は100メートル3位、200メートル2位。173センチ、73キロ。