【ドーハ=上田悠太】男子400メートルリレー決勝で多田修平(住友電工)白石黄良々(セレスポ)桐生祥秀(日本生命)サニブラウン・ハキーム(米フロリダ大)の日本は37秒43のアジア新記録で2大会連続の銅メダルを獲得した。東京五輪出場権も確保。米国が世界歴代2位の37秒10で制し、英国が37秒36で2位に入った。

日本は37秒43でアジア新記録を樹立した。前回大会なら優勝できたタイムだが3位。厳しい現実を突き付けられた。

今大会でリレー代表デビューとなった100メートル日本記録保持者のサニブラウンをアンカーに起用。これが走力の向上を生み、融合による効果は出た。3年前のリオデジャネイロ・オリンピック(五輪)銀メダルで熱狂させた37秒60も、上回った。

サニブラウンは「もうちょっといい色がほしかったですけど、アジア記録で日本記録なので、来年に向けて、いい流れが作れたんじゃないか。100メートルと違う楽しさだった。いつも見てる側だったので。走っている人はこんな気持ちだったんだ」。予選の小池ではなく多田を起用した第1走者から白石、桐生とつないだバトンを受け継ぎ、仲間と戦う充実感に浸った。

予選は「安全策」で詰まったバトンは、大事な決勝でスムーズに流れた。お家芸の「バトン」に日本に9秒97のサニブラウンの走力が加われば、記録更新は必然だった。しかし、力を尽くしてなお、金メダルという目標が遠いという事実も思い知らされた。東京五輪Vの到達点としていた「37秒50以内」をクリアしながら、米国とは0秒33、前回金の英国とも0秒07の差。桐生は「正直、終わったときはまた銅かと。目標の色にはまだ届かなかったのが一番の感想」と悔しがった。予選で37秒91を出したカナダ、黄金時代を築いたジャマイカまで落選。各国の突き上げが急速に進み、ライバルが増えていることもはっきりした。

東京まで1年を切った。土江コーチはサニブラウンに「来年は2走だぞ」と、鍵を握るバトンゾーン含めた最長区間を託したいと伝えた。残り10カ月。その差は埋まるのか。日本記録も残念な結果と受け止め、金への余地を探り続ける。