日本陸連の強化委員会マラソン強化戦略プロジェクトリーダー、瀬古利彦氏(63)が1日、福岡市内で福岡国際マラソン(12月1日)の招待選手記者発表会見に臨み、20年東京オリンピック(五輪)マラソンの札幌開催決定に、不本意ながらも前向きな姿勢を示した。

報道陣から心境を問われ、「(札幌に)決まってしまいましたね。ずっと東京ありきでやってきたので不本意ではある。ただもう決まったということであれば、切り替え、過去のことは忘れ、しっかり札幌へ頑張っていきたい」と先を見据えた。

札幌に変更する計画を知った際、「(10月)16日の夜にJRの電車でネット(ニュース)を見て知り、力が抜けた。こんなことがあるのかと腰が抜けそうになった。1年を切った中であり得ない」と語った。以来、「しばらくショックで、空白の2週間でした。強化の人たちも『やる気がなくなった』という話を聞いている」と複雑な気持ちで過ごしてきたという。

さらに「選手も東京のコースをずっとイメージしてやってきたと思う。不安でいっぱいだったと思います」と選手の思いも代弁。「選手とはまだ何も話せていない」という状況だが、「落ち着いたら、みんなで集まってこれからの対策を決めていきたい」と話した。

ただ前向きにとらえている。「東京ありきで3年間、MGCもやってきて、それが生かせないのが残念」としつつ、「ただやってきたことは無駄にならない。暑さ対策、その他で無駄にならない戦い方をしたい。札幌も夏は夏なんで、けっこう暑くなることもあると思うので」。新コースについては「常識からすると、北海道マラソンのコースを使うしかない。新しいコースをつくるのは間に合わない」との見解を示し、「コースや時間が決まってからいろいろ考えるが、暑さ対策は今までと同じようにやる。選手が心配なく走れる環境をつくってあげたい」と語気を強めた。

マラソンの男女同日実施案に関しては「まだそこは分かりませんけど、何があろうが、もう五輪があるのは間違いないので、決まった以上は粛々とやっていくしかない」とした。一方、迷惑を被った現場を指揮するリーダーだけに「IOCが決めたことにとやかく言うウつもりはないが、騒ぎはこれだけにしてほしい。選手たちには練習に集中させたい」とくぎを刺すのも忘れなかった。【菊川光一】