全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は来月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。4連覇を狙う旭化成と、東京五輪マラソン代表内定の服部勇馬(26)を擁するトヨタ自動車が2強と言われているが、その2強に挑戦するチームの1つが、青学大OBが主体となっている初出場のGMOアスリーツだ。

MGC5位の橋本崚(26)が駅伝でも主要区間の3、4、5区のどこかを任されそうだ。初出場初優勝を実現させるには、その3区間でトップ争いに加わりたい。「マラソンでは結果を出せていますが、トラックや駅伝では普通以下の選手です。(トップ争いができるかは)他のチームも強いのでわかりません」と橋本が謙虚に話すのは駅伝での実績が乏しいからだろう。青学大時代に全日本大学駅伝は走ったが、箱根駅伝には1度も出場できなかった。山登りの5区候補だったが、同学年に“山の神”と呼ばれた神野大地(26=セルソース)がいたため控え選手で終わった。

橋本が駅伝よりもマラソン向きのスタミナ型の選手であるのは確かだ。橋本は自身の適性をスピードが求められる前半区間よりも、「タイプ的には5区。向かい風でも粘っていける」と考えている。それでも今季は、5月にハーフマラソンで1時間2分55秒、7月には1万メートルで28分35秒37と自己記録を更新。MGC後は駅伝を意識したスピード練習も多く行っている。他チームのエースも、橋本を侮ると痛い目に遭うだろう。

入社3年目の一色恭志(25)、ルーキーの森田歩希(23)も青学大出身。一色は箱根駅伝エース区間の2区を2年時から3年連続で走り、3年とも区間3位の安定した成績でチームに貢献。青学大の3連覇の大きな力となった。GMOでもエースとしての走りを期待されている。一方の森田は2年時に箱根駅伝の4区を走り区間2位。3年時は4区で4年時には3区で区間賞を獲得した。今季は、将来のマラソンを見据えながら、5000メートル、1万メートルで自己新をマークするなど力を伸ばしている。ニューイヤー駅伝に向けて2人は自身の区間でトップ集団に位置することが必要だと異口同音に話した。

青学大以外の卒業生は山岸宏貴(28)と倉田翔平(27)が、花田勝彦監督(48)が以前指導していた上武大出身。ルーキーの近藤秀一(24)が東大出身である。3人の中では倉田の状態が良く、花田監督は「チーム内でスピードが一番ある。優勝を考えると彼が任された区間をしっかり走ることが重要」と期待をかける。

GMOインターネットグループは1995年に創業し、インターネット産業で“ナンバーワン”になることを目標に掲げている。「駅伝もやるからには“ナンバーワン”を目指します。初出場、初優勝を狙って行く」と花田監督。平成に創業したベンチャー企業が、実業団駅伝に新たな風を吹かせる。