来年1月2、3日に開催される東京箱根間往復大学駅伝の予選会(10月17日)について、関東学生陸上競技連盟が今年はコースを変更し、それに伴う無観客の開催で最終調整に入ったことが6日、関係者の話で分かった。新型コロナウイルスの感染予防を最優先にするための措置。東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地(1周約3・3キロ)を周回するコースとなる。近日中に発表される。

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正月の箱根路への出場権を懸けた歓喜と涙が交錯する予選会も、新型コロナウイルスの影響で簡素化される。例年は陸上自衛隊立川駐屯地をスタートし、立川市街地を抜け、ゴールの昭和記念公園へ向かうコースだった。関係者によると、今大会は陸上自衛隊立川駐屯地の約3・3キロの周回になるという。コースが自衛隊の敷地となれば、観戦は大学関係者らに限られ、一般客は入れなくなる。

例年、ゴール地点の昭和記念公園を筆頭にコースには多くの人が集まっていた。部員のみならず、各大学の後援会など母校愛にあふれた卒業生も一緒になって、結果発表に祈りながら、耳を傾ける。「天国」と「地獄」。その明暗が分かれる場面は駅伝ファンにとって風物詩だった。

だが屋外とはいえ、例年通りの開催では密集と密接は避けられない。未知のウイルスの猛威、クラスター(集団感染)の危険性は高まってしまう。ファンやOBの声援は選手を支える大きな力であるが、感染リスクの代償は払えない。苦渋の選択となった。また周回コースにすることで、運営スタッフの人数を減らす狙いもある。

日本陸連が発表する大会運営に関するガイドラインでは「3密を回避できる1日の競技会の参加人数を設定する」ことが求められている。昨年の大会では43チーム506人が一斉スタートした。しかし、今年は走る集団を少しでも小さくするため、予選会の出場に必要なタイムを引き上げる、あるいはレース出場人数を絞るなどの規定を変更する案も浮上している。

関東学生陸上競技連盟の日隈広至副会長は「通常開催へ向けた努力をする。(周回は)選択肢の1つ」と話すにとどめたが、別の関係者によると、ほぼ各所へは調整は済んでいるという。なお予選会の開催は、運営ガイドラインによると「緊急事態宣言の解除」が前提になる。今後の社会情勢次第では、大会自体に影響が出る可能性もある。

■6月予選会中止で「全日本」関東代表推薦校は書類選考

○…全日本大学駅伝(11月1日)の関東地区代表の推薦校は、選手8人が昨年マークした1万メートルの記録を合計したランキングの上位7校の「書類選考」に決まっている。伊勢路の切符は例年、6月の予選会で決定していたが、コロナ禍で中止となった。

◆箱根駅伝予選会 東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地スタート。立川市街地を走り、国営昭和記念公園ゴールのハーフマラソン(21・0975キロ)。各校14人までのエントリー選手のうち、10~12人が出場する。チーム上位10人の所要合計タイムの少ない上位校(昨年は10校)が本戦出場権を獲得できる。

出場資格は関東学生陸上競技連盟の男子登録者で、予選会ならびに大会の出場回数が通算4回未満。昨年の大会は18年1月以降にエントリー選手全員が1万メートルで34分0秒以内となるトラックでの公認記録を持っていることが条件だった。関東学生連合チームの候補選手も予選会の成績で決まる。

昨年の予選会では、東京国際大が1位で通過し、7位の筑波大は26年ぶりとなる箱根出場の歓喜に酔いしれた。今年の予選会には、今年の箱根路10位以上に与えられるシード権を逃した中央学院大、中大、拓大、順大などの他、本戦の連続出場が33年で途切れた山梨学院大などが出場予定。