日本選手権で男子100、200メートルとも2位に入ったデーデー・ブルーノ(21=東海大)は右股関節痛で失速し、予選落ちとなった。

中盤で顔をゆがめ、止まるようにスピードを落とした。棄権はせず、フィニッシュラインまで進んだが、タイムは13秒04。予選5組で7着だった。

右股関節付近にはテーピングがされてあった。前日よりも状態が上向き、出場を決めたが、「トップスピードに上がるにつれ、痛みが出てきた」。4年生で思いも強かっただけに、レース後は涙があふれる場面もあった。「最後の舞台。後輩に託さないといけないものもある。何も残せないまま終わってしまい、悔しい」と苦しい感情を言葉にした。

東京オリンピック(五輪)で出番はなかったが、男子400メートルリレーの補欠として、チームに同行した。「世界がどのくらいなのか生で感じられた。そのくらいまでいかないと戦えないとも分かった」。バトン技術、個の力を上げる必要性を肌で感じた。卒業後も陸上人生は続く。「9秒台に入るだけでなく、9秒8台、7台を出していかないと世界の決勝では戦えない。そこを目標にしている」。高校2年生から始まった陸上人生。高くなった志を、実現できる力を養っていく。