<東京国体:陸上>◇5日◇味の素スタジアム

 成年男子100メートルは地元東京の川面聡大(24=ミズノ)が10秒41で優勝。この種目のロンドン五輪代表だった江里口匡史(25=大阪ガス)やモスクワ世界陸上4×100メートルリレー6位入賞メンバーの高瀬慧(24=富士通)らに快勝した。

 「照準を合わせた地元の国体に優勝できてよかった。雨も強くて寒いコンディションでしたが、自分のレースができました!」。

 レース後のインタビューに地元のヒーローが熱く語った。「東京が総合優勝を狙っているのですごく緊張しました。昨日の夜は食事ものどを通らなかったくらいです。でも、今朝起きたらすっきりして、今日はずっと笑顔でいられました」。

 2年前のテグ世界陸上4×100メートルリレー補欠だった川面だが、ロンドン五輪、モスクワ世界陸上と2年続けて代表を逃した。

 課題だったスタートを改善するため、今年3月の米国合宿で元世界陸上銅メダリストのデニス・ミッチェル氏から指導を受けた。今季前半はその動きがしっくりこなかったが、昨秋から本格的に始めたウエイトトレーニングの成果が現れ始めると、スタートでもしっかりと地面を押せるようになった。「以前は(スタートの良い)江里口さんから毎回後れていましたが、今はついて行けるようになっています」。

 今大会は江里口がスタート直後にバランスを崩したこともあり、前半からリードを奪って危なげなく逃げ切った。

 しかし「タイム的には悔しいですね」と渋い表情。昨日の桐生祥秀(17=洛南高)の優勝タイムが10秒22(=少年A男子100メートル)。それを上回りたかったという。

 もっとも準決勝では向かい風1・9メートル、それも雨という悪条件の中で10秒37で走っている。適度な追い風なら「10秒0台が出ていた」と評価する指導者もいた。「来年は桐生や山縣(亮太・21=慶大)らと戦えるようにしたい。その先に9秒台も見えてくると思う」。

 9秒台先陣争いに都会育ちの熱い男が加わりそうだ。