<大阪国際女子マラソン>◇26日◇大阪・長居陸上競技場発着

 20年東京五輪へ、新星が飛び出した。一般参加の前田彩里(さいり、22=佛教大)が、初マラソンで2時間26分46秒の4位に入った。96年に松本こずえ(中大)が出した日本学生記録を18年ぶりにちょうど5分も更新。28歳で迎える東京五輪マラソン代表を目標に掲げた。

 一気に抜き去った。前田は、29キロ付近でロンドン五輪代表重友をかわした。30キロからの5キロは驚異的な16分59秒。「(時計で)ラップを見てびっくりした。これ、正しいのかな?」。順位も分からず前を追いかけて、表彰台まで15秒差の4位。練習でも30キロ走3度の経験しかない大学4年生が母親と一緒に出た卒業記念のレースで快走。「目標は完走で2時間40分を切れたらと思っていた。ここまで走れるとは」と驚いた。

 まさに新星だ。目立った成績は熊本信愛女学院2年時に全国高校駅伝での1区5位。ただ佛教大の吉川監督は「(持久力を表す)最大酸素摂取量は世界トップクラスに近い。あとは精神面と思った」という。昨年8月にマラソンランナーだった父節夫さん(享年54)が死去。苦しい時に背中を押してくれる存在だった。この日は喪章をつけて「今日も(父が)いましたね」と気持ちを奮い立たせた。

 2位赤羽が引退するため、9月のアジア大会(韓国・仁川)の選考レースである今大会で、日本人最上位の扱いとなる。今春からはダイハツに入社。大学の先輩でもあるロンドン五輪代表木崎と一緒に練習する。「木崎先輩は憧れ。超えたいなと思います。東京五輪のマラソンに出たい」と目を輝かせた。【益田一弘】