日本男子屈指のエンターテイナー友野一希(19=同大)が、10日に大阪で開幕するNHK杯でグランプリ(GP)シリーズデビューすることとなった。出場予定の村上大介(陽進堂)が急性肺炎となり、大会4日前に出場が決まった。「怖い存在になりたい」と五輪を狙う伏兵に、アピールする好機が回ってきた。

 見る者を楽しませるスケーターだ。これまで、警察官の格好に犬の耳をつけた「犬のおまわりさん」スタイルで、ベートーベン「運命」を滑ったり、ヌンチャクを持ちブルース・リーになりきるなど、コミカルな演技で観客の心を引きつけてきた。そんな友野が「自分の良さを全開に出したプログラム」と自信を持つのが、今季のフリー「ウエストサイドストーリー」。同名の舞台、映画の使用曲に合わせて表情豊かに滑り、4分半を飽きさせない。9月、米ソルトレークシティーでのシニア国際デビュー戦、USインターナショナルクラシックでは米国ファンから大きな歓声を浴びた。「トモノという楽しいスケーターがいると少しは知ってもらえたかな」と手応えをつかんだ。

 このフリーでは、自身初の4回転2本にも挑戦。これらのジャンプを安定して決められるかがカギになる。「プログラムの流れの中で、4回転に意識を向けなくても跳べるようになりたい」と友野。持ち前の表現力に、ジャンプの精度が伴えば、五輪も夢ではない。「少しは(五輪の)可能性が見えてきたかな…。自分を奮い立たせて、成長スピードを上げていきたい」。ここで勢いをつけ、五輪がかかる12月の全日本選手権へつなげていく。【高場泉穂】

 ◆友野一希(ともの・かずき)1998年(平10)5月15日、堺市生まれ。06年からスケートを始める。16年世界ジュニア15位、17年9位。16年ジュニアGPスロベニア大会3位。16年全日本選手権5位。17-18年からシニア転向。160センチ。

友野のデータ
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